研究課題/領域番号 |
25861718
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 智也 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70597509)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | NETs / 好中球 / 感染 / ARDS / ステロイド |
研究概要 |
NETs(Neutrophil Extracellular Traps)とは、好中球がDNAを含む網目状構造物を能動的に放出する現象で、重要な感染防御の役割を担っている。その一方で、NETsの過剰発現は炎症を誘導し組織損傷を引き起こす可能性も報告されている。 ARDS(acute respiratory distress syndrome:急性呼吸促迫症候群)において、喀痰に細菌が存在しないにも関わらず、著明な好中球浸潤を認める症例が数多く経験される。我々は、NETsの過剰発現が肺組織損傷を誘導し、ARDS発症に深く関与しているのではないかと考えた。本研究は、①ARDSにおける痰・血液中NETs発現の動的変化、②ステロイド投与によるNETs発現への影響を、臨床病態、生物学的マーカーと共に評価し、ARDSの病態解明および治療に役立たせることを目的としている。 現在までに、2013年1月から2014年2月までに当センターに入院した6症例で検討を行った。経過中にステロイドを使用したのは5症例であった。3症例は基礎疾患として慢性呼吸器疾患があった。全症例で気道感染の有無に関わらず、NETsの形成が認められ、P/Fratioの改善とともにNETsは伸長し、やがて消退した。P/Fratioの改善しない症例ではNETs形成が持続した。ストロイド投与におけるNETs発現形成への影響は症例数を増やした上で今年度検討を続けていきたい。昨年度の研究結果よりARDSにおいてNETsは密接に関与していると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NETsを指標にしたARDSに対するステロイド治療導入の指針を作成するには十分はARDS症例が現在のところ集まっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
さらなるARDS症例での検討を続け、NETsを指標にしたARDSに対するステロイド治療導入の指針の作成を進める。さらに、このプロトコールに準じた治療群と従来治療群に無作為に振り分けて、NETs指向型治療の妥当性を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね順調に進んでいる。症例数の蓄積とともに必要物品が今後必要である。 必要な物品費・旅費などに使用する予定である。
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