研究課題/領域番号 |
25861720
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 洋平 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80644004)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 集中治療 / 血糖値 / EMS |
研究概要 |
ICU入院中の重症患者では、生体防御反応としてのストレス誘導性高血糖がもたらされる。ストレス誘導性高血糖は過大侵襲による異化反応亢進とインスリン抵抗性の増悪を主因とし、炎症反応の促進、酸化ストレスの増大、免疫抑制などの機序により重症患者の合併症や死亡率上昇のリスクとなっている。近年重症患者の血糖コントロールは、集中治療管理における大きなテーマとなっている。しかし、重症患者の血糖管理の方法としてはインスリン製剤による薬物療法が中心であり、運動療法による治療効果についての報告はなされていなかった。 我々は以前、重症頭部外傷患者の廃用性萎縮予防を目的として、下肢筋群に対してEMSを用いた臨床研究を行い、その有効性を報告してきた。 一方、以前より2型糖尿病患者や健常成人を対象とした研究では、EMSが糖代謝の改善に有効であると報告されている。これはEMSによりグルコース輸送タンパクであるGLUT-4の細胞膜への発現や糖脂質代謝の重要な制御因子であるAMPKの活性化、グリコーゲンの消費がより大きいTypeII筋繊維(速筋)の活性化が促進される為と考えられている。また、筋収縮によりIL-6 分泌が増加し、耐糖能を改善させるという報告もされている。 これらの研究結果を踏まえ、ICU入院中の重症患者の耐糖能改善に、下肢へのEMSが有効ではないかという着想に至り、本研究を計画した。 平成25年度においては、集中治療中患者の血糖値の推移や、基礎代謝量の測定のため、間接熱量計を用いた代謝量の評価を行い、Dataを蓄積した。また、EMSに関しては集中治療中患者に対する最適な施行方法を検討している。今後、EMS施行中の間接熱量計による代謝量の変化や、糖尿病関連の各種マーカーを評価し、EMSの血糖コントロールに与える影響を詳細に評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画に沿って進めている。集中治療中患者の血糖値の推移、血糖値関連のマーカーの検査、間接熱量計を用いた代謝量の評価を行っている。 EMSの施行に関しては、施行時間や施行強度について検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はEMS施行中の代謝量の変化や施行前後でのマーカー、血糖値の評価を行っていく予定である。また、EMSの施行に伴う副作用についても詳細に評価し、必要があればEMSの施行方法について再度検討や変更を予定している。 このまま順調に研究計画が進めば、目標としている50症例の評価を行うことが可能と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用する機器(EMS、間接熱量計)について、以前使用していた材料(装着パッドや測定用の窒素ガス等)が残っており、本年度はこれらを使用し研究を行なった。 今後は、材料費を含めた費用負担が生じると考えている。 EMS機器の消耗品(パッド、電池等)および間接熱量計の窒素ガスといった材料費に研究費使用予定である。 また、学会発表等の学術活動にも諸経費が必要になると考えられる。
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