研究課題/領域番号 |
25861725
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
柳 大介 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (80638586)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臓器障害 / 低酸素誘導性因子 / 細胞代謝 |
研究概要 |
まず,肺上皮細胞培養系としてMLE15を用いてTNF-α刺激に対するサイトカイン分泌がHIF-1によってどのように制御されているのかを検討した.siRNAを用いてHIF-1αをノックダウンすると,CXCL-1の著明な分泌増加が見られ,HIF-1が肺上皮細胞において抗炎症効果を持つ可能性が示唆された.一方で,MLE15及び,肝細胞培養系としてHepa 1-6を用いてLPS刺激を行ったが,HIF-1やATPの有意な変化は見られなかった. これを踏まえ敗血症の病態におけるHIF-1,ATPの変化について個体レベルでの評価を行うためにLPS腹腔内投与によるマウス敗血症モデルを作成し,予備的な検討を行った.LPS10mg/kg腹腔内投与にて,肺胞洗浄液中のタンパク濃度,CXCL-1濃度,MPO濃度が増加することをまず確かめた.さらにHIF-1の変化についてELISAを行った所,肺においてはLPS投与6時間後にHIF-1 alphaの増加傾向が見られた.肝臓においては明らかではなかった.ATP濃度の変化についてはAMERICのATP抽出キットを用いて測定条件の検討を行った.肝臓ではPBSでのホモジナイズ後においてもATP濃度の測定が可能であったが,肺においては測定限界以下であった.そこでPBSを用いずに,組織を直接TE飽和フェノールにて溶解した所,検出することが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vitroにおける臓器障害モデルにおいては明らかなHIF-1,ATPの変化が見られなかったため,動物モデルでの検討を先行させることとしたため,研究計画に変更が生じた. 昨年度の予備実験により,測定系の構築ができ今後の実験がスムーズにすすめられるものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
臓器障害については,肺傷害がいままでの研究における経験もあり,検討がしやすいと考えた.そのため,モデルとしてはLPS腹腔内投与モデルとLPS気管内投与モデルを中心に実験を進める. 昨年度の実験をもとにして,HIF-1とATPのこれらのモデルでの挙動について検討を行う. 次にHIF-1 alphaのオーバエクスプレッションによる臓器保護効果の検討を行う.方法としてはPHD阻害剤であるDMOGを用いる方法と,HIF-1のconstitutive active formをウイルスベクターとして導入する方法の両面から実験を進める. これらの結果を踏まえて,臓器障害における表現形をin vitroでどのように検討するか決定していく.
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