in vitroにおいて、高速液体クロマトグラフィーを用い、5-アミノレブリン酸(5-ALA)をMRSAに添加した際に、緑膿菌と比べ総ポルフィリン量は3倍に増加し、そのポルフィリン量のうち16%がプロトポルフィリン9(PpⅨ)であることがわかった。またキレート剤であるEDTAを同時に添加した場合は、緑膿菌内ではPpⅨの量が7倍に増加したのに対し、MRSA内では16%から11%に減少し、総ポルフィリン量も15%減少することがわかった。この結果により、MRSAに対しては、EDTAを添加せずに5-ALAのみを投与した方が効果的に光線力学療法を行えることがわかった。次にin vivoでの検証を行った。マウスの背部に2度熱傷を作成後にMRSAを接菌し、5-ALAを全身投与したが、生存率が極端に低かった。そのため、小さい皮膚欠損創に変更し、MRSAを接菌し、5-ALAを全身投与してPDTを行った。創部のMRSAにPpⅨが蓄積することがわかり、5-ALAの全身投与によるPDTの可能性が広がった。その後、波長410 nmの発光ダイオード(LED)を照射することにより、創部の菌量が減少し、創傷治癒を促進することがわかった。この結果により、5-ALAの全身投与と広範囲に照射可能なLEDを組み合わせることにより、熱傷などの大きな面積に対してPDTを行える可能性が示唆された。
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