研究課題
若手研究(B)
本年度は以下の実験をおこなった。1. MFG-E8過剰発現細胞の作製:MFG-E8を高発現する口腔扁平上皮癌(SCC)由来培養細胞ZK-1のcDNAライブラリーよりMFG-E8 バリアント1・2のcDNA全長配列を増幅し、pcDNA3.1/CT-GFP TOPOベクターにライゲーションした。配列を確認後、MFG-E8低発現性SCC培養細胞であるZK-2, SAS, HSC-4に一過性遺伝子導入をおこなった。導入48時間で、遺伝子および蛋白レベルで導入MFG-E8の過剰発現が確認された。 蛍光顕微鏡観察の結果、50%以上の導入効率が得られ、導入MFG-E8は内因性蛋白質と同様、おもに細胞質内に局在していた。2. MFG-E8過剰発現細胞の機能解析:上記3種の培養細胞に遺伝子導入後、MTS法により経時的に細胞増殖活性を測定したが、有意な変化は認められなかった。一方、トランスウェル遊走試験・マトリジェル浸潤試験にて、遊走および浸潤細胞の増加が確認された。3. 試験管内貪食実験:UV照射によりアポトーシスを誘導した蛍光標識Jurkat細胞を上記のMFG-E8過剰発現細胞と共培養し、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリーにて、アポトーシス細胞貪食を観察した。その結果、MFG-E8過剰発現細胞で貪食細胞率が増加し、貪食されたアポトーシス細胞周囲への導入MFG-E8の濃縮が認められた。
2: おおむね順調に進展している
MFG-E8過剰発現口腔SCC細胞において、遊走浸潤能およびアポトーシス細胞貪食の亢進が確認されたことより、仮説の根幹部分の証明ができ、研究計画が妥当であったと評価している。
本年度の成果より、当初の研究方向性に変更はなく、次年度も引き続き実験を進めたい。具体的には、本年度に作製したMFG-E8過剰発現系にて、アポトーシス細胞貪食後の癌細胞の増殖・遊走浸潤・代謝におよぼす影響について解析する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
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