研究課題
破骨細胞は造血幹細胞由来であり,その分化や活性化には骨髄微小環境(特に骨髄ストローマ細胞)が重要な役割を担っている。特にストローマ細胞および骨細胞が産生するRANKLは破骨細胞の増殖・分化・活性化を促進している。RANKLの発現は炎症性サイトカインや1α,25-(OH)2D3により誘導されることが知られている。申請者は骨Paget’s病や多発性骨髄腫の破骨細胞前駆細胞やストローマ細胞で、ビタミンD受容体のコアクチベータであるTAF12が強発現していることを発見した。TAF12はTFIID転写複合体の構成タンパク質のひとつであり、様々なTAFやactivating transcription factor (ATF)ファミリーなどの機能パートナー因子と結合し、ビタミンD受容体による転写を促進する新規コアクチベータである。しかしながらストローマ細胞におけるTAF12の役割は不明である。そこで申請者は骨髄ストローマ細胞でのRANKL産生におけるTAF12の役割を解明すべく検討を行い、以下の結果が得られた。1.TNF-αやIL-6等の炎症性サイトカイン刺激によりストローマ細胞のTAF12の発現が誘導され、特にIL-6が顕著に誘導した。2.IL-6により高発現させたTAF12により、1α,25-(OH)2D3刺激の高感受性が認められ、低濃度の1α,25-(OH)2D3によりRANKLの発現が誘導され、破骨前駆細胞と共培養でも破骨細胞形成・活性化が顕著に誘導された。3.2の実験系にTAF12siRNAを導入したところ、1α,25-(OH)2D3刺激の高感受性が解除され、RANKLの発現および破骨前駆細胞と共培養による破骨細胞形成・活性化も高濃度においてのみ誘導された。4.免疫沈降法によりTAF12とATF7が機能パートナー因子として作用していることが示唆された。
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