研究課題/領域番号 |
25861748
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
六反田 賢 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60549608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Runx2 / FGFシグナル / FGFR / 頭蓋縫合早期癒合症 / 肢芽形成 / 四肢形成異常 |
研究概要 |
Prrx1プロモーターを用いて頭蓋と肢芽の未分化間葉系細胞にRunx2を過剰発現したマウスでは、頭蓋縫合早期癒合と四肢の形成異常を呈した。これは、FGFR1, FGFR2の機能獲得型変異と類似した表現型であり、Runx2がFGFシグナルを調節している可能性を示唆している。 まず、Prrx1プロモーターRunx2 トランスジェニック(tg)マウスの肢芽形成過程を解析した。胎生10日および10.5日の野生型およびRunx2 tgマウスの胎児を用いて、whole mount in situ hybridizationにて、FGF10, FGF4, FGF8, Shhの発現を比較検討した。野生型マウスでは、肢芽の間葉系細胞にFGF10、AERにFGF4, FGF8, ZPAにShhを発現していた。一方、Runx2 tgマウスでは、肢芽の間葉系細胞にFGF10を発現していたが、AERでのFGF4, FGF8の発現、ZPAでのShhの発現を認めなかった。また、胎生10.5日の組織切片で、野生型マウスでは、Runx2は検出されず、AERにFGF8を検出した。またTUNEL染色でAERに少数の陽性細胞を検出した。一方、Runx2 tgマウスでは、肢芽全体にRunx2が検出され、AERにはFGF8を検出しなかった。また、AERのTUNEL陽性細胞は増加していた。 次にPrrx1プロモーターGFP tgマウス(コントロール)とRunx2 tgマウスの胎生10.5日の肢芽の部分から細胞懸濁液を調整、FACSを用いて、GFP陽性細胞を集めた。RNAを抽出後cDNAに逆転写、リアルタイムPCRにて、FGFR1, FGFR2, FGFR3の発現を調べた。Runx2 tgマウスでは、FGFR1b, FGFR1c, FGFR2c, FGFR3b, FGFR3cの発現上昇を認めた。 したがって、Runx2は、FGFシグナルに影響を及ぼすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 胎生10日および10.5日の野生型およびRunx2 tgマウスの胎児を用いて、whole mount in situ hybridizationにて、FGF10, FGF4, FGF8, Shhの発現を比較検討する。この実験は終了し、結果も得られた。 (2) 上記の胎児の切片を用いて、Runx2, FGFR1, FGFR2のin situ hybridizationを行う。Runx2は、免疫染色で調べた。FGFR1, FGFR2の発現は、肢芽組織よりRNAを抽出、それらのアイソフォームを含めてリアルタイムRT-PCRで調べ、結果も得られた。 (3) Runx2 tgマウスのトランスジーン発現細胞におけるFGF、FGFRの発現解析。Prrx1プロモーターGFP tgマウスとRunx2 tgマウスの胎生10.5日の肢芽の部分から細胞懸濁液を調整、FACSを用いて、GFP陽性細胞を集めRNAを抽出、リアルタイムPCRにて、FGF10, FGF4, FGF8, FGFR1, FGFR2, FGFR3の発現を調べた。また、アイソフォーム特異的なプライマーを用いて、FGFR1, FGFR2, FGFR3それぞれのIIIbとIIIcアイソフォームの発現を調べた。これらも結果が得られている。 したがって、予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 骨芽細胞におけるRunx2によるFGFシグナル調節機構の検討 ① 新生児の頭蓋冠をコラゲナーゼ処理して集めた骨芽細胞にRunx2発現アデノウイルスを感染させ、リアルタイムRT-PCRにて、FGF10, FGF4, FGF8, FGFR1, FGFR2, FGFR3の発現を調べる。また、アイソフォーム特異的なプライマーを用いて、FGFR1, FGFR2, FGFR3それぞれのIIIbとIIIcアイソフォームの発現を調べる。② 上記初代培養骨芽細胞に、Runx2のsiRNAを導入、上記で誘導された遺伝子が抑制されるか検討する。 (2) FGFR1, FGFR2, FGFR3による骨芽細胞分化・増殖調節機構の解析 ① 初代培養骨芽細胞にFGFR1, FGFR2, FGFR3のsiRNAを導入、MTTアッセイで細胞増殖に対する効果を検討する。3つのレセプター間で機能重複の可能性があるので、FGFR1, FGFR2, FGFR3単独のsiRNAの導入の他、それぞれ2つの組み合わせ(FGFR1とFGFR2等)あるいは3つ全て導入する実験も行う。② 上記と同様にsiRNAを導入、アルカリフォスファターゼ染色およびvon Kossa染色により骨芽細胞分化に対する効果を検討する。また、アルカリフォスファターゼ活性およびCa量の測定により定量解析する。さらに、RNA を抽出、骨芽細胞マーカー(Runx2、Osterix、I型コラーゲン、オステオポンチン、骨シアロ蛋白、オステオカルシン)の発現を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬をキャンペーン期間中に購入し、当初の計画より安く入手できたため。 培養実験で使用するプラスッチック器具、培養液、ディスポーザブルピペットを購入する。
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