研究課題/領域番号 |
25861752
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 義明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70460524)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 線毛 / 歯周病 / 歯周病関連菌 / Mfa1 |
研究実績の概要 |
グラム陰性偏性嫌気性菌であるPorphyromonas gingivalisは、慢性歯周炎の発症と進行に強く関わる。本菌の口腔への定着にはMfa1およびFimA線毛が重要な働きを演じている。Mfa1線毛を構成する遺伝子群であるmfaオペロンはmfa1~mfa5の5個の遺伝子で構成されており、菌体表面に短い線毛を形成する。これまでの研究から、mfaオペロンのうち、主要な線毛構成タンパク質をコードする遺伝子としてmfa1が同定され、さらに、発現量の低い線毛構成タンパク質(付随成分)をコードするものとしてmfa3~mfa5が同定されているが、これらに対応する線毛構造、細胞表面への分泌および線毛形成機構は未だ明らかにされていない。本研究では、この線毛の構造と構築機序の解明を目的とした。 mfa4およびmfa5変異株の菌体表面での線毛発現量をELISAにて解析したところ、両株共に親株と比較して半分程度に減少していた。両変異株の線毛成分を解析したところ、付随成分が欠損していた。mfa4変異株では、未成熟型Mfa3が内膜において検出され、Mfa5が培養上清に遊離していた。さらに、mfa4相補株では、成熟型Mfa3が検出されMfa5は菌体に検出された。以上の結果から、Mfa4は、Mfa1線毛の菌体表面での発現とMfa3の成熟化およびMfa5の線毛へのアセンブリに関与することが明らかとなった。付随成分の欠損は、P. gingivalisのバイオフィルム形成および自己凝集を亢進させた。つまり、Mfa4は、Mfa1線毛の適正な構造・機能を保つ上で重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の異動が重なったため、計画通りに進まなかった点もあるが、現在の状況で進められるところは着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策 今後は平成27年度に予定していたPor分泌装置欠損株の作製を進めるとともに、遅れている部分の実験についても実験系の確立を目指す。また、計画以上に進んでいる点については、今後も実験を継続して研究成果を得るとともに、新たな展開について模索する。特に、付随成分の欠失が、Mfa1線毛の発現量の低下にどのように結びつくかを解析することで、Mfa1線毛の構築メカニズムを総合的に理解できるように努力したい。
次年度の研究費の使用計画 線毛形成におけるジンジパインの役割を検討するために、rgpA/B変異株を用いて、線毛成分のウェスタンブロット解析を進める。また、porU欠損株を作製し、Por分泌装置と線毛形成との関係を解析する。そのため、分子生物学的解析を行うための試薬やプラスチック製品などの消耗品を購入するための物品費として使用する。また、学会参加費や論文作成費として使用する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
異動にともない研究環境が改善され、物品費が削減できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は最終年度にあたるため、研究成果を広く公表するための、学会参加費、論文作成費(英文校正費、論文投稿料)として使用する計画である。
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