研究課題/領域番号 |
25861755
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青山 絵理子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10432650)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CCN2/CTGF / RANK / RANKL / OPG / osteoclast |
研究概要 |
CCN2とOPGの結合に関して表面プラズモン法にて速度論的解析を行った。その結果、CCN2とOPGの解離定数はOPGとRANKLのそれと同等であることが分かった。また、CCN2とOPGの結合を固相化結合実験法で行ったところ、CCN2を固相化したプレートへのOPGの結合量はOPGの濃度依存的に上昇した。これらの結果によりOPGとCCN2が特異的に結合することがさらに裏付けられた。 OPGはRANKのデコイレセプターとしてRANKLとRANKの結合を阻害することが知られているため、CCN2とRANKとの結合においてもOPGが同様の抑制作用を発揮しうるかどうかを固相化結合実験によって調べた。その結果、OPGはRANKとCCN2の結合を濃度依存的に強く阻害することが分かった。このことはOPGがRANK-RANKLの結合抑制因子であるのみならず、RANK-CCN2の結合においても負の制御因子として働くことを示している。 さらに、マウスの骨髄由来付着性細胞を用いた破骨細胞形成系においてOPGはRANKLによる破骨細胞形成作用を促進するが、このOPGによる促進作用はCCN2を共存させることよって濃度依存的に抑制された。すなわちCCN2はOPGによるRANKL阻害作用を抑制する因子としても機能するといえる。 また、OPGはRANK-RANKLの結合のみならずアポトーシス誘導因子でるTRAILとそのレセプターTRAIL-Rの結合をも阻害する作用を有している。そこでTRAIL-TRAILR結合におけるOPGの抑制作用がCCN2によって阻害されるか可能性について固相化結合実験法でけんとうしたところ、CCN2の存在下ではOPGによる抑制作用は減弱することが分かった。このことはCCN2によるOPGの抑制効果が骨代謝系だけでなくガン抑制系においても発揮されている可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画において25年度内に実行を計画していた研究はほぼ全て終えることができた。さらに計画書になかったTRAILとの関係性についても有益な結果を得ることができた。しかし、CCN2のOPG結合ドメインの解析とCCN2-OPG結合阻害抗体の探索については検討中であり、いまだ明確な結論に至っていない。これらは今後、CCN2-OPGの結合による作用をin vivoで検討していく上で重要なツールとなる可能性があることからさらなる検討を重ねていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後計画を進めていく上で以下の二点において計画の改善を図る。 1.CCN2-OPG結合阻害抗体およびCCN2の結合ドメインの解析について CCN2-OPG阻害抗体について現在、入手している抗体ではこれらの結合を阻害できない可能性もあり、あらたな抗体を入手する必要がある。また、場合によっては抗体を作成することも視野に入れて検討する。このためにもCCN2の結合ドメインの解析は重要な知見となるが、この検討の為の実験からは安定した結果が得られていない。この実験に必要なCCN2の各ドメインのリコンビナントタンパク質はこれまでに自ら精製してきたものであるが、精製した時期が数年前であり、タンパク質が劣化している可能性が考えられるので再精製して実験を再開する。 2.DC-STAMPとCCN2の結合におけるOPGの作用について 26年度の実験計画ではDC-STAMPとCCN2の結合におけるOPGの作用について解析をすすめる予定にしていたが、この実験に必要なDC-STAMPの精製効率が低く、実験に必要な量が入手できていない。今後はさらに精製を続けてリコンビナントタンパク質の量を増やすとともに購入品を用いることも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品が予定したよりもいくぶん安く購入できたため。 実験に使用する予定のタンパク質の精製量が予定したよりも少ないことから、リコンビナント品を購入する必要がある。このため予定よりも消耗品の購入額が増えると予想される。
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