研究課題
歯科臨床では第三象牙質、象牙質橋形成を誘発する目的で水酸化カルシウム製剤やmineral trioxide aggregateが使用されている。しかし、これらの製剤が象牙質形成過程を駆動する機序は不明である。本研究では、これらの薬剤の共通点はアルカリ性であることに着目し、象牙芽細胞におけるアルカリ刺激感受性を検討した。新生仔ラット切歯から得た歯髄スライス標本上で免疫蛍光染色により象牙芽細胞を同定し、fura-2を用いた細胞内Ca2+濃度計測とパッチクランプ法による電流記録を行った。平成25年度①アルカリ刺激に対する象牙芽細胞の応答の脱感作の有無を検討した結果、脱感作しないことが示された。②pH9.5のアルカリ刺激で誘発される細胞内カルシウム濃度増加の細胞外カルシウム濃度依存性を検討した。アルカリ刺激に対する象牙芽細胞の応答は細胞外カルシウム濃度依存性を示した。③アルカリ刺激感受性であるTRPA1チャネルについて免疫組織化学染色と細胞内カルシウム濃度測定により検討した。その結果、象牙芽細胞にはTRPA1チャネルが膜遠心部と象牙芽細胞突起に発現しており、アルカリ刺激はTRPA1チャネルにより受容されることが示された。平成26年度④アルカリ刺激で誘発される細胞内カルシウム濃度増加のpH依存性を検討した。細胞外カルシウム存在下、非存在下ともに細胞内カルシウム濃度増加はpH依存性を示した。⑤②に加え、pH7.5, pH8.5のアルカリ刺激で誘発される細胞内カルシウム濃度増加の細胞外カルシウム濃度依存性を検討した。②と同様、アルカリ刺激に対する象牙芽細胞の応答は細胞外カルシウム濃度依存性を示した。これら細胞内カルシウム濃度増加のEC50はpH依存性を示した。⑥パッチクランプ法を用いてアルカリ刺激で誘発される内向き電流計測を行った。アルカリ刺激誘発性内向き電流はpH依存性を示した。
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Pflügers Archiv European Journal of Physiology
巻: 467 ページ: 843-863
10.1007/s00424-014-1551-x