研究課題
側坐核においてアセチルコリン神経と密接な機能的相互作用を示すドパミン(DA)神経の活動制御機構について,アドレナリン受容体サブタイプの役割の面から検討した。青斑核および延髄腹側部のノルアドレナリン(NA)神経は,中脳-辺縁系DA神経が投射する側坐核へ入力している。我々は側坐核のα1受容体は同部位のDA神経活動を抑制的に調節することを報告している(Saigusa et al., 2012)。α1受容体にはα1A,α1B,α1Dのサブタイプがあるが,α1受容体作動薬のmethoxamineが誘発した側坐核のDA神経活動の低下におけるこれら受容体サブタイプの関与は明らかでない。そこで本研究では,α1受容体の各サブタイプの選択的拮抗薬はmethoxamineが誘発した側坐核のDA放出低下を抑制するか否かを指標として,α1受容体サブタイプがDA神経活動抑制において果たす役割について検討した。実験にはS-D系雄性ラット(体重約200 g)を用い,無麻酔非拘束の条件下で,脳微小透析法により側坐核から回収した細胞外液中のNAおよびDAをHPLC-ECD法で20分毎に定量した。使用薬物は灌流液に溶解し,透析プローブから逆透析で側坐核に局所灌流投与した。その結果,methoxamineによるDA放出減少は,基礎NAおよびDA量に影響がない用量の5-methylurapidil(α1A受容体拮抗薬),cyclazosin(α1B受容体拮抗薬),BMY7378(α1D受容体拮抗薬)をそれぞれ前処置したところ,いずれの拮抗薬の投与でもほぼ完全に消失した。以上の結果からα1受容体刺激による側坐核DA神経活動抑制には,同部位のDA神経終末上のα1A,α1B,α1Dの各受容体を同時に刺激する必要があることが示唆された。
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Behavioural Pharmacology
巻: 26 ページ: 73-80
10.1097/FBP.0000000000000113