研究課題/領域番号 |
25861764
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 清文 日本大学, 歯学部, 助教 (30609764)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | LSPS法 / 島皮質 / 味覚野 / 局所神経回路 / 無顆粒皮質 |
研究概要 |
島皮質は、味覚・内臓感覚に関連する情報を収斂し、統合・処理さらに他の脳領域に出力する神経核である。島皮質の特徴として、(1)島皮質ニューロンは、甘味や酸味などの基本5 味のうち1 種類の味質に対して発火応答を示す傾向がある。(2)第2/3 を電気刺激すると皮質表層から深層を貫く微小カラム状の応答特性を示すことが知られる。(3)第5層深層・第6層にかけて密に局在するparvalbumin陽性細胞が、免疫組織学的な検証によって示され、PV 陽性細胞は高頻度発火型(FS)抑制性ニューロンであると同定される、ことが挙げられる。したがって、種々の味質による舌刺激への刺激によって誘発する各ニューロンタイプから記録される応答の潜時ならびに各ニューロンによって形成されるシナプス結合確率から、研究の進む大脳皮質聴覚野・嗅覚野において既に提案されている局所神経回路とは全く異なる回路が、島に存在すると予想された。申請者は、特定のニューロンに投射する興奮性・抑制性入力の分布をLSPS 法によって網羅的に検索し、以下に示す可能性を薬理学的、電気生理学的によって検討し、島における局所神経回路を同定することを目的とした。無顆粒皮質の第2-第6層の錐体細胞ならびにFSニューロンからホールセル記録を行った。60um毎に無顆粒領域を覆う336ポイントにUVレーザーを照射し、興奮性シナプス応答を測定し、興奮性入力の部位特異性を検討した。第2-第5層 浅層の錐体細胞ならびにFSニューロンは、記録ニューロン近傍から興奮性入力を受けるが、第5層深層・第6層のFSニューロンは同領域から興奮性入力を広範囲に受けることが示された。これらのことから、島皮質5層浅層と5層深層-6層で全く異なる神経回路が存在し、特に後者において視床出力性の錐体細胞に対し強力な抑制をかけるフィードバック制御回路を形成すると推定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
島皮質を含む急性脳スライス標本を、vesicular GABA transpoter (VGAT)にVenus蛍光タンパクを遺伝子導入したラット、 いわゆるVenus AラットからICを含むスライス標本を作製し、MNI-caged glutamate (200 uM)灌流下でUVレーザー照射によって惹起されるシナプス応答を記録した。無顆粒皮質II層からV層のPyrとFSからホールセル記録を行い、laser scanning photostimulation法を用いて記録ニューロンに対する興奮性入力の部位を推定した。無顆粒皮質Pyrのsoma周辺にUV照射を行い、活動電位を発生させる最適条件を検討した。90%のPyrに活動電位を惹起するレーザー強度は5.1 mWであったことから以後の実験にはこの強度のUVレーザー刺激を行った。記録はPyrとFSNから行い、I層からVI層の領域に60 um毎で336ポイントにUV照射し、興奮性入力の部位を特定した。II層からV層に位置するPyr (n = 54) ならびにFSN (n = 39) は、各ニューロンのsoma近傍からの垂直性の興奮入力が認められたため、初年度の研究目的は達成したと考えている。加えて、V層深部に位置するFSN (n = 19) のみに同層ならびVI層の広範囲からの興奮性入力を受けることがしめされたのは予想外であった。無顆粒皮質内の浅層ならびに深層で認められた興奮性入力の部位の差異は、無顆粒皮質内で全く異なる局所回路が存在する可能性を示唆し、特にV層深部に密に存在するFSNは、周囲のPyrから興奮性入力を受けて、これらFSNが発火することによってそれらのPyrを抑制するfeed-back回路を形成すると推察される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究計画である「顆粒皮質における局所神経回路の推定ならびに島領域における隣接する神経核間の相互連絡回路の同定」を遂行する。不全顆粒皮質においてLSPS法によって、興奮性ならびに抑制性ニューロンに対する入力源の所在を明らかにする。ニューロンのタイプ、記録したニューロン同士によるシナプス結合の有無ならびにgap junctionの有無など条件をそれぞれ検討する。島皮質から入力を受ける扁桃体において、中心核や基底核などの亜核に抑制性シナプスを介した亜核間の相互連絡があることが知られる。そこで、島領域の無顆粒ならびに不全顆粒皮質などの亜核間における相互連絡の存在を、同様の手法によって検討する。
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