研究課題
口腔粘膜上皮内癌(CIS)および口腔扁平上皮癌(SCC)を含む外科切除材料を用いた病理組織学的検討では、癌細胞に高頻度にアポトーシス小体(60%)および好酸性の硝子体形成(36%)が認められ、免疫組織化学ではともにcaspase-3陽性を示し、共通の細胞死機序がかかわっていることが示唆された。これらの結果は、界面部での癌細胞におけるアポトーシス性細胞死の亢進を意味し、癌細胞が敗者となることが示唆されたため、これらの外科切除標本については、癌-非癌部のタンパク質発現動態を網羅的に検索することを目的に、癌-非癌部組織試料にケラチン13およびケラチン17免疫組織化学を併用して、癌-非癌部境界を客観的に視覚化したうえで、レーザーマイクロダイセクションにより選択的に癌、非癌部を採取し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)による解析を行った。これらの方法によって少数例の解析から得られた結果では、癌-非癌部界面に面した癌組織において、interferon-induced protein (IFP) 53およびIFP78が同定された。したがって、現在のところ、癌-非癌界面に面した癌組織でのinterferon応答反応が示唆されている。また、上述の癌-非癌境界に形成される硝子体は、口腔粘膜に発生する扁平苔癬のシバット小体と形態的な共通点が多く、扁平苔癬のシバット小体についても検討を行い、シバット小体が血管破綻像と関連し、ケラチン17陽性、caspase-3およびヘモグロビン共陽性が明らかになったことから、上皮細胞の赤血球貪食に関連した細胞死であることが示唆され、現在報文を作製中である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件)
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