口腔上皮内癌CISおよび口腔扁平上皮癌SCCの病理診断では、癌組織は非癌組織との間に明瞭な界面を形成することがしばしば観察される。この界面部において細胞競合という現象が生じるという仮説を立て、検証することとした。明瞭な界面を形成するCISを含む病理組織標本の検討では、癌組織にアポトーシス小体(60%)、好酸性硝子体(36%)が高頻度だった。選択的に癌組織・非癌組織を採取し、LC/MS/MSで蛋白質の網羅的解析を行うと、癌細胞でインターフェロン応答性蛋白質の発現が明らかになった。癌細胞が非癌細胞に対して敗者となっている可能性とともに、その分子基盤にはサイトカインの関連が示唆された。
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