口腔扁平上皮癌(OSCC)の予後は頸部リンパ節転移の有無により大きく左右される。私は今までに組織検体を用いたアレイCGH解析を行い、OSCCの頸部リンパ節転移に関わる染色体異常領域として7p12、8q24、17q25の領域を同定した。更にアレイCGH解析を行っているOSCC細胞株16細胞株について網羅的発現解析を行い、7p12、8q24、17q25領域のゲノムコピー数増幅に伴い発現亢進する遺伝子の抽出を行った。「7p12、8q24、17q25のゲノム異常領域に存在し、ゲノムコピー数異常によって発現が亢進する遺伝子の中に、リンパ節転移に関わる重要な遺伝子、すなわちOSCCの標的遺伝子が存在する。」という仮説を証明するために7p12、8q24、17q25領域に存在する癌遺伝子の単離を目的として実験を行っている。平成26年度は、レンチウイルスシステムを用いて候補遺伝子発現ウイルスの作製を行っている。次に、候補遺伝子が過剰発現しているOSCC細胞株にsiRNAを導入し、発現抑制後の細胞増殖能、アポトーシス制御能、細胞周期解析、浸潤能の変動を調べている。また、候補遺伝子の発現が低下・消失している細胞株にはウイルス感染させ、候補遺伝子の発現を確認後、同様の機能解析実験を行っている。発現変化に伴い細胞形質の変動が認められた候補遺伝子については、順次、免疫不全マウスに細胞を同移植して、in vivoにおける機能解析実験を行っている。
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