当該年度では日常臨床にて最適化された拡散強調MRI(EPI法)を含むMRI検査が施行され、病理組織学的な最終診断が得られた舌癌患者約30症例を選出し、IVIM解析を行った。病理学的最終診断との比較を行う予定であったが、病理学的な最終診断ではWHO分類やY-K分類など様々な指標があり、各症例を代表する指標としていずれが適切か検討したが、本研究期間内に行うことはできなかった。 一方で、拡散強調MRIの解析手法の一つとして知られるDKI(Diffusion Kurtosis Imaging)を用いて、顎骨に生じる歯原性腫瘍および嚢胞35症例の嚢胞成分について解析を行った。特に日常臨床で鑑別が難しいことが多い、角化嚢胞性歯原性腫瘍6症例と歯原性嚢胞(歯根嚢胞、含歯性嚢胞)24症例の鑑別において、DKIによる評価法は従来のMRI拡散強調画像の評価法(ADC値)に比べ、診断能が向上するという結果が得られた。当該研究結果については英語論文”Application of diffusion kurtosis imaging to odontogenic lesions: analysis of the cystic component”として学術雑誌 Journal of Magnetic Resonance Imagingに投稿し、受理された。 上記、舌癌症例についてのIVIM解析についてはDKI解析と併せて引続き行う予定としている。
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