当該研究では、舌癌症例に対する詳細な検討を行うための前段階としてIVIMを顎顔面領域に生じた腫瘤性病変の良悪性鑑別に適応し、ADCによる診断能との比較を行った。対象は最終診断の得られた顎顔面部腫瘤性病変33症例(良性腫瘍10症例、悪性腫瘍23症例)とし、IVIMの各パラメータおよびADCの算出をレトロスペクティブに行い、比較した。結果として、IVIMにおけるパラメータの組合せによる診断能はADCによる診断能をやや上回った。IVIMでは複数のパラメータから病変組織における水分子の拡散や毛細血管による灌流の体積割合と流量について評価でき,診断能が向上する可能性があると考えられた。
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