研究課題
[目的・方法]歯・顎骨立体造形モデル(以下、3D model)の寸法精度および造形コストを評価することを目的にφ10mmアルミニウム製検査用標準球を下顎頭外側、下顎正中、下顎角部に設置したヒト成人乾燥下顎骨のMDCT撮影を行った。DICOM画像データから、歯・顎骨三次元CADデータを構築し3D CAD model(以下、3D CAD model)を作成した。この3D CAD modelを元に3機種の3Dプリンタ、3種の異なる造形素材の各3D modelのリバースエンジニアリングを経て各々の形状誤差を測定した。同時に各3Dプリンタの造形方向異方性の有無について評価した。<1>使用3Dプリンタ;ZPrinter650(Plaster)、Objet260 Connex(PP)、Value 3D MagiX MF-2000(PLA)、<2>使用MDCT装置;SOMATOM Definition AS 撮像条件は管電圧:120kV、Eff mAs:110mAs、スライス厚:0.6mmx64列。<3>使用ソフトウェア;CADデータ作成にはVolume Extractor 3.0およびspGauge 2014.01。統計処理には"R Ver2.15.0"を用いた。[結果]3D CAD modelと各3D modelとの形状誤差比較:3D CAD modelとPlaster model、PP model、PLA Modelとのそれぞれの形状誤差は、Plaster;0.21 mm、PP;0.10 mm、PLA;0.29 mmであった。低価格パーソナル3DプリンタMF-2000によるmodel重量は75g、造形コストは375円であった。[結語]金属アーチファクトに対して歯列石膏模型CADデータを併用し、上記の手法で重ね合わせし補完する手法を採用した。視認上はほぼ満足するレベルの一致率(98.2%)であった。以上よりプロフェッショナル、パーソナル3Dプリンタによる各造形素材の3D modelを作製し寸法精度を評価した結果、寸法精度に有意差は認めず、極めて経済的なシステム構成での作製が可能となった。一連の造形経験を通じ、より有効活用するためには適切かつ簡便なCADデータ構築手法の確立、解剖学などの医学的知識を持ったCAD技術の理解を深める必要がある。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 26 ページ: 301,307
10.1016/j.ajoms.2013.04.004