薬物性歯肉増殖症は、医学の進歩の反作用として高齢社会の到来とともに、これまで以上に今後、患者数が増加すると予想されている疾患である。その治療法は外科的切除が一般的であり、患者の負担が大きい。本研究では、患者の負担が小さく簡便な治療法として、新規薬物療法の確立を試みた。歯肉増殖の原因の一つは、歯肉線維芽細胞の異常増殖と報告されている。本研究で、18α-グリチルレチン酸は歯肉線維芽細胞において、Rbリン酸化抑制による細胞周期停止、ミトコンドリアからのチトクロームC放出抑制によるアポトーシス誘導により、細胞増殖を抑制することを発見した。以上の結果から、本疾患の薬物療法の可能性を見出した。
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