研究課題/領域番号 |
25861781
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小林 良喜 日本大学, 歯学部, 助手(専任扱) (10609085)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯周病 / 肥満細胞 / 歯周病原性細菌 |
研究概要 |
本研究では歯周病原性細菌による歯周疾患の誘発機序を肥満細胞の動態を中心とした自然免疫機構の関与を解明するために、次の実験を行なった。歯周炎モデルマウスを構築するためにマウス(BLAB/c、雌、7週齢)に10(8) cfuの歯周病原性細菌を感染させた。疑似感染マウスを対照群とした。歯周病原性細菌感染による歯槽骨吸収の程度を解析し、同時に口腔粘膜組織を顎骨ごとPFA固定して病理組織切片を作製し解析を加えた。次に、歯周病原性細菌感染に対する自然免疫機構(粘膜型肥満細胞)の動態を解析した。歯周炎症時の炎症誘発機序を経時的に解析するために歯肉リンパ球を単離して解析を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯周病原性細菌を口腔感染させたところ、疑似感染と比べて顕著な歯槽骨の吸収を認め、病理組織切片より破骨細胞(TRAP陽性)が歯槽骨辺縁に認められた。さらに破骨細胞を活性化されるRANKL陽性活性型CD4T細胞が炎症歯肉において経時的に増加していることをフローサイトメトリーにより確認することができたことから、歯周病原性細菌の口腔感染により歯肉炎症巣において免疫応答による経時的変化として歯槽骨吸収は誘導することが示唆された。そこで、感染初期における自然免疫機構の解析を行なったところ、肥満細胞(FceRIa陽性c-Kit陽性)が増加傾向にあることがフローサイトメロリーを用いた解析により認めることができた。細胞総数では約2~3倍程の増加を認めた。以上のことから歯周病原性細菌の口腔感染初期において肥満細胞は炎症を惹起させる上で何らかの役割をになっているものと考えられるが、肥満細胞による破骨細胞またはRANKL陽性活性型CD4T細胞への関与を認めるには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究結果より歯周病原性細菌の口腔感染により肥満細胞が炎症誘導に関わることが予想されることから肥満細胞の活性度をサイトカインの産生量や活性化マーカーを細胞または遺伝子レベルでの解析を行なう。歯槽骨の吸収に関与する破骨細胞が歯槽骨辺縁に顕著に認められたことやRANKL陽性活性型CD4T細胞が認めたことから、肥満細胞が破骨細胞を活性化やRANKL陽性活性型CD4T細胞の誘導に関与するかを細胞または遺伝子レベルでの解析をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
歯周病原性細菌の感染により惹起される歯槽骨吸収に関与する肥満細胞の動態をフローサイトメトリー法により経時的変化を確認することができたが、粘膜型肥満細胞か結合組織型肥満細胞であるかを確認するため、検討を他の論文を参考に解析を行なったが、計画に送れと使用額の変更が生じた。 炎症巣における肥満細胞のさらなる検討を加えるため、磁気細胞分離システム(autoMACS)などにより肥満細胞を抽出し、リアルタイム法等を用いて詳細な検討を加える。
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