本研究では歯周病原性細菌による誘発機序を肥満細胞の動態を中心とした自然免疫機構の関与を解明するため、申請者らが確立した歯周病モデルマウスを応用して行った。歯周病原性細菌の経口投与により、対照群と比較して有意な歯槽骨の水平的骨吸収と歯周組織の破壊を病理組織標本により確認した。次に、細胞外感染性細菌の防御機構の主として作用する肥満細胞の動態をフローサイトメトリー法により検討したところ、口腔感染開始1日後は減少したものの、顕著に増加した肥満細胞を感染期間中に認めた。次いで、抗CD63抗体を用いて肥満細胞からの脱顆粒を検討したところ、口腔感染直後より優位に増加していることが認められた。このことから、歯周病原性細菌の口腔感染により歯肉粘膜中の肥満細胞の増加だけでなく、肥満細胞からの脱顆粒されていることを認めた。
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