辺縁性および根尖性歯周炎の病原性細菌の一つであるPorphyromonas gingivalisは、in vitroで形成したバイオフィルムにおいて、数種の抗菌薬に対して抵抗性を示す。 全塩基配列の解析が終了したP. gingivalis ATCC33277株では、その遺伝子配列より薬剤排出ポンプをコードする遺伝子に相同性を持つ遺伝子が20種存在する。それらの遺伝子のうち、浮遊細菌とバイオフィルム形成細菌の継時的な遺伝子発現の変化を検索したマイクロアレイの結果より、恒常的に発現している遺伝子として、PGN_0006、PGN_0886、PGN_1207、PGN_1431、PGN_1432、PGN_1537、PGN_1538、PGN_1680、PGN_1681、PGN_1682、PGN_1683、PGN_2012、PGN_2013、PGN_2014が同定された。バイオフィルム形成細菌で発現が上昇する遺伝子として、PGN_0081、PGN_0142、PGN_0444、PGN_0445、PGN_0715が、また、浮遊細菌で発現が上昇する遺伝子として、PGN_1749が同定された。これらの結果より、バイオフィルム形成細菌で発現が上昇する5種の薬剤排出ポンプをコードする遺伝子に相同性を持つ遺伝子(PGN_0081、PGN_0142、PGN_0444、PGN_0445、PGN_0715)が、バイオフィルムにおける抗菌薬抵抗性に関与している可能性が示唆された。
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