研究の最終目標は,根尖性歯周炎の治癒メカニズムを解明することによって,臨床効果の高い治療法の開発を目指す。本研究では,ラット根管治療モデルの病巣治癒期に発現が亢進するinterleukin-1α (IL-1α)と細胞外基質ラミニンの有用性をin vitroおよびin vivoで検討する。本年度は,ラット根管治療モデルを用いてラミニンおよびIL-1αの根管病巣治癒に及ぼす効果を検討するにあたり,病巣部の炎症の度合いを評価する新しい手法(分子イメージングの応用)を構築した。すなわち,通法に従い,根尖病巣モデルを作製した後,ラット腹腔から蛍光プローブを投与し,IVISスキャンシステムを用いて炎症巣の度合いを評価した。根尖病巣形成モデルにおいて,蛍光プローブの根尖病巣部への集積を確認し,対照群においては蛍光プローブの集積がみられなかった。以上の結果から,従来,組織学的またはエックス線画像診断学的にしか評価できなかった実験的根尖性歯周炎の評価を視覚的かつ定量的に評価できる手法を構築できたと考える。
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