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2013 年度 実施状況報告書

歯髄炎の病態形成における歯髄細胞の細菌由来因子に対する自然免疫機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25861802
研究種目

若手研究(B)

研究機関徳島大学

研究代表者

武川 大輔  徳島大学, 大学病院, 医員 (10632664)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードインターフェロンγ / 歯髄炎 / 歯髄細胞 / TLR / NOD / IL-6 / CXCL10
研究概要

本研究では,インターフェロンγ(IFN-γ)に着目し,ヒト培養歯髄細胞の自然免疫応答におけるIFN-γの役割について検討を行った。すなわち,Pathogen-Associated Molecular Patterns (PRRs) リガンド刺激を行ったヒト培養歯髄細胞にIFN-γを作用させ,歯髄炎の不可逆的変化への関与が示唆されている炎症性メディエーターである インターロイキン-6(IL-6)および CXCL10の産生量への影響を解析した。
まず,歯髄細胞のToll-like receptor (TLR) に対するIFN-γの影響を検討するため,歯髄細胞にTLRリガンドとIFN-γを共刺激させ,IL-6および CXCL10の産生量への影響をELISA法にて解析した。その結果,TLRリガンド刺激した歯髄細胞にIFN-γを共刺激させることで、IL-6およびCXCL10の産生は相乗的に増加し,その相乗効果はIFN-γ濃度依存的に増大した。さらに,Nucleotide-binding oligomerization domain (NOD) に対するIFN-γの影響を同様に検討し,NODリガンドにて刺激した歯髄細胞にIFN-γを共刺激させることでも、IL-6およびCXCL10の産生が相乗的に増加することが示された。
これらの結果より、IFN-γが,初期歯髄炎における歯髄細胞の自然免疫応答において調節的役割を果たしていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの研究で,IFN-γが歯髄細胞のIL-6,CXCL10産生に影響を与えていることが明らかとなり,IFN-γが歯髄炎における歯髄細胞の生体反応において重要な役割を果たしていることが示唆された。
当初の計画からの遅れは無く,研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

インドールアミン酸素添加酵素(Indoleamine 2, 3-dioxygenase,以下 IDOと略す)は,トリプトファン代謝の初期に発現する酵素で,ヒトの肺,小腸,胎盤など多くの組織に分布し,種々の感染症や炎症性疾患で強く誘導されることが報告されている。また,樹状細胞,マクロファージ,好酸球,線維芽細胞,内皮細胞など幅広い細胞種に発現しており,リウマチなどの炎症性疾患において発現が認められている。IDOは感染細胞や腫瘍細胞内でIFN-γにより100倍酵素活性が上昇し,著明に誘導されることから,歯髄内で産生されるIFN-γと関連し,歯髄炎の進展や制御に重要な役割を果たしている可能性がある。
そこで,今後 歯髄炎病変局所におけるIDO発現を免疫組織化学的手法により調べるとともに,ヒト培養歯髄細胞において,IFN-γおよびPRRsがIDOタンパク発現に及ぼす影響を検討することにより,歯髄炎の病態形成におけるIFN-γの役割を追求する予定である。

次年度の研究費の使用計画

初年度は,歯髄細胞を採取するための抜去歯牙の収集や歯髄細胞の培養・細胞のストック等を主に行っており,IDO発現の解析に使用するウエスタンブロッティング,免疫組織学的解析に用いる試薬など,費用のかかる物品の購入が次年度となったため。
歯髄細胞を培養するための試薬やELISAに用いる試薬については,引き続き購入予定である。それに加えて,IDO発現の解析に使用するウエスタンブロッティング,免疫組織学的解析に用いる試薬なども次年度に購入予定である。
また,次年度は研究成果を学会や論文等で発表する予定であり,その経費としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 歯髄疾患の病態と診断2013

    • 著者名/発表者名
      松尾敬志、尾崎和美、中西正、湯本浩通、高橋加奈子、平尾功治、武川大輔
    • 雑誌名

      日本歯内療法学会誌

      巻: 第34巻 第2号 ページ: 67-76

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公開日: 2015-05-28  

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