近年、発癌や動脈硬化症の発症に慢性炎症が関与することが注目されている。歯内治療においても慢性炎症が根尖部に持続していることが難治性の根尖性歯周炎の原因の一つと考えられる。今回、炎症の主たるシグナル伝達経路であるNF-κBシグナルを抑制するMTI-Ⅱに着目し、骨芽細胞分化への影響について検討した。骨芽細胞様細胞にMTI-ⅡとTNFα、BMP4で刺激したところ、BMP4刺激によってALP活性上昇が誘導されたが、TNFαで刺激するとその活性は抑制された。しかし、MTI-Ⅱで刺激した細胞ではその抑制が解除された。以上より、MTI-ⅡはBMPによる骨形成の有効な補助薬となる可能性が示唆された。
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