研究課題/領域番号 |
25861815
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
加藤 千景 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (00459926)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 象牙質 / Er:YAG laser / 接着 / コンポジットレジン |
研究概要 |
硬組織自動精密切断装置を用いヒト抜去歯から5mmの立方象牙質片を作製し、Er:YAG laserにて以下の照射条件で窩洞形成と表面処理をおこなった。実験群1:タービン切削(対照群)、実験群2:50mJ/10pps照射、実験群3:150mJ/10pps照射、実験群4:250mJ/10pps照射、実験群5:50mJ/10pps照射後150mJ/10pps照射、実験群6:150mJ/10pps照射後リン酸にて30秒処理、実験群7:150mJ/10pps照射後リン酸にて30秒処理後、次亜塩素酸にて90秒処理。 各試料にアザン染色を行い観察を行った結果、実験群1・7に変化は観察されず、実験群2は形成面表層に熱変性層と思われる厚さ約15~50μmの不均一な厚さの赤染層が認められた。同様の赤染層は実験群3で10μm、実験群4で7μm、実験群5で5μm、実験群6では5μm認められた。実験群2の切削面には大きな凹凸があり、赤染層の厚さはその凹凸に付随するように大きな幅が認められ不均一であった。しかし、実験群3~5の切削面は平坦で赤染層の厚みは均一であった。実験群6は平坦な面を得られたが、酸処理の影響で実験群3~5に比べわずかに赤染層の厚みに幅が認められた。 同様に作製した試料のSEM観察を行ったところ、実験群1は切削面をスミヤー層で覆われているのに対し、実験群2~7にスミヤー層は存在しなかった。切削面に歯面処理を行った実験群6は象牙細管のロート状の開口が認められ、実験群7は管周象牙質が突出したような表面性状だった。切削面に対し縦断したSEM観察では、実験群2の表層に他群と比較し緻密さに欠けた層が一層存在していたが、他の群には特に変化は認められなかった。 実験群2は切削効率が悪い低出力で切削を行ったため照射時間が長く、影響を受けるエネルギー量が多くなり熱変性層が厚くなったものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では平成25年度中にTEM観察を行うとともに切削面のEPMA分析を行う予定であった。しかし、TEM観察用試料の作製がうまくゆかず、現在専門家のアドバイスを受けながら試料作製を行っている最中である。今後TEM観察を行うとともにEPMA分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
TEM観察、EPMA分析を早々に完了するとともに、これまでに得られたデータから総合的に熱変性層と表面処理による変化について微細構造の組織学的な分析を行うとともに、コラーゲン線維の変性状態とコラーゲン線維へのヒドロキシアパタイト結晶の付着状態について分析を行い、コンポジットレジン接着阻害因子の検討を行う。 これらの結果をふまえ、各実験群の微小接着強さ試験を行う。 各実験結果から熱変性層を減少させる照射方法と表面処理について再検討を行い、最適な接着術式を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当年度購入予定の薬剤を次年度購入することとしたため。 薬剤の購入にあてる予定である。
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