研究課題/領域番号 |
25861819
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南川 元 北海道大学, 大学病院, 医員 (70625607)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯科材料 |
研究概要 |
H25年度は、抗酸化アミノ酸であるN-アセチルシステイン(NAC)を歯科充填材料に含有させその機械的性質を検討した。歯科充填材として市販のグラスアイオノマーセメント(GI)フジII(GC)を用いた。10mMNACを錬和時にGIに含有させたものと, NAC非含有のGIを直径6mm、厚さ3mmの円盤状に作製した。試料作製後24時間後のダイヤメトラル引張強さ(SHIMADZU EZ test、クロスヘッドスピード0.5mm/min)を測定した。 また、GIを細胞培養液に浸漬し、GI抽出液を作製した。GI溶出液, 10mMNAC添加GI溶出液(GI+NAC)もしくは、 GI溶出液未添加(Control)の培養液を用い、マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を培養した。 播種後3時間、24時間後の細胞接着量をWST-1(Roche)を用いて呈色反応を行い波長450nmにて吸光度を測定することにより検討した。 細胞数は細胞播種3時間後のGI+NACはGI群の約3倍と有意に増加した。また、細胞播種24時間後のGI+NAC群では、GI抽出液群と比較して約2倍と有意に増加した。細胞播種3時間後、24時間後共にGI+NAC群はControl群と比較して統計学的有意差は認められなかった。ダイアメトラル引張強さはControlのGIと比較し、NACを含有させたGIは平均値においてわずかに増加したが、統計学的有意差は認められなかった。以上より、本年度得られた結果において、GIへのNACの応用は、GIの機械的性質を損なわずに、GIの細胞為害性を改善させることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗酸化アミノ酸を応用した歯科材料の機械的性質の検討を行うという平成25年度の目標は、ダイアメトラル引張試験を行い、抗酸化アミノ酸の添加が歯科充填材料であるグラスアイオノマーセメントの機械的性質を変化させないことを明らかにしたことで達成の目処がついた。当初予定していたマイクロテンサイル試験やSEM等による試験片観察に関しては細胞親和性の実験を先行させたためまだ達成されていない。今後の研究課題とする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の実験計画で完了していない機械的性質の検討を追加で行う予定である。平行して平成26年度分の当初の計画通り、in vitroにおいてNACの添加に対する細胞の反応を検討するとともに、in vivoではラットの歯牙に抗酸化アミノ酸を含有した歯科材料を充填し、組織学標本を作製し、組織学的検査ならびに計測を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者が主に使用している研究室が耐震工事のため一時使用できないでいる。そのため、当初予定していた実験やそのための消耗品の購入が遅れている。 耐震工事が終わり次第、予定していた消耗品の購入を行うとともに、平成26年度に予定している培養実験、動物実験に必要になる消耗品を購入する予定である。また、情報収集並びに成果発表のため各種学会に参加するため必要な旅費や経費を計上する予定である。
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