平成26年度では、in vitroで抗酸化アミノ酸であるN-アセチルシステイン(NAC)のLPS刺激下での炎症性サイトカインへの影響を検討し、in vivoではラット露髄モデルを作成し、NACの直接覆髄剤としての効果を検討した。 ―NACの炎症性サイトカイン抑制効果の検討― MC3T3-E1細胞にLipopolysaccharide(LPS)刺激をおこない、NAC添加したものを実験群、無添加をLPS刺激群として、6時間後の炎症性サイトカインであるIL-6の発現をReal-time PCR法で検討した。LPS無刺激の対照群と比較して、LPS刺激群では、炎症性サイトカインIL-6の発現が有意に増加したが、NACを添加することによりLPS刺激により増強したIL-6の発現が有意に抑制されることがわかった。このことによりNACが炎症性サイトカインの発現を抑制することにより抗炎症作用を示す可能性が示唆された。 ―ラット露髄モデルでのNACの効果の検討― 全身麻酔を施したSDラットの上顎臼歯にラバーダムを装着し、無菌状態でダイヤモンドポイントを使用し歯髄まで穿通させ、ラット露髄モデルを作成した。この形成した窩洞内にNAC含有コラーゲンスポンジで直接覆髄した後、4-META/MMA-TBBレジンで填塞した。4週間後に屠殺を行い、dentin bridgeの有無を病理組織学的に観察した。ヘマトキシリン-エオジン染色標本を光学顕微鏡下で観察し硬組織形成を評価した。NAC添加群においては露髄面に修復象牙質誘導が認められた。このことにより、NACを直接覆髄として応用できる可能性が示唆された。
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