本課題では,部分床義歯装着者における床下粘膜痛のリスクファクター,および咀嚼機能への影響について,横断研究で検討した. 333名(平均年齢71.4歳,500義歯床)に対して義歯床下粘膜痛の強さ及び頻度を評価した.34.2%(171/500床)の義歯で,評価時に痛みが有り,義歯装着以降の痛み経験は,42.8%(214/500)の義歯で有りと評価された.ロジスティック回帰分析の結果,床下粘膜痛の発生には口腔粘膜・顎堤の特性,痛み感受性,日中パラファンクション,年齢,義歯関連因子が関与することが示唆された.また,構造方程式モデリングの結果,床下粘膜痛が主観的咀嚼能力を低下させることが示唆された.
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