本研究では,頭頸部腫瘍切除後の顎義歯装着患者を被験者とし,インプラント応用した顎義歯装着患者群とインプラントを用いない顎義歯装着患者群に分け,咀嚼機能検査,顎運動や重心動揺などの身体機能,食品アンケートやQOLアンケート結果を評価項目とし,群間比較および重回帰分析を行い,顎義歯装着患者の重心動揺について明らかにするとともに,インプラント応用した顎義歯による咬合回復が顎運動や重心動揺などの身体機能やQOLに及ぼす影響について明らかにし,咀嚼機能に影響する因子やより低侵襲な外科的再建方法について検討するとともに,顎義歯にインプラントを応用することの効果や危険性について明らかにすることを目的とした. インプラントを用いない下顎顎義歯装着患者の咀嚼機能に影響する因子に検討し,顎骨区域切除や舌切除などが咀嚼混合能力に影響されていることが示唆された.咬合支持のないインプラントを用いない顎義歯装着患者について重心動揺検査を実施した結果,上顎切除した場合と,下顎切除した場合の重心動揺の傾向が違うことが明らかになった.上顎切除後の鼻腔との交通の有無は適切な顎義歯が装着されていれば咀嚼機能と健康関連QOLアンケート結果に大きな違いは認められなかった. 上顎両側性欠損症例に対し,再建された腓骨にインプラントを埋入し,インプラントを応用した顎義歯が装着されたことで,インプラント治療前と比較し咀嚼機能や発話機能が向上した.上顎切除後に腹直筋皮弁にて再建された無歯顎症例で,残存骨にインプラントを埋入した症例では,咀嚼機能は改善したが,3本のうち1本が早期に脱落したが咀嚼機能は維持されていた.前腕皮弁にて再建されや下顎骨辺縁切除症例では,残存骨にインプラント埋入し、オーバーデンチャーを装着した.咀嚼機能は良好にされ,インプラントも経過良好であった.
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