化学蒸着法(CVD)による義歯の表面改質について,義歯床用加熱重合レジン(PMMA)を用いて基礎的評価を行ったところ,義歯床表面はより滑沢になり疎水性が高くなることが示唆された.また,PMMAにおけるカンジダバイオフィルム抑制効果を評価した結果,CVD処理試験片におけるカンジダ菌生存率は50%に低下し,かつ,表面に形成されたカンジダバイオフィルムの付着性が弱くなり,剥離しやすい特徴に変化したことが観察された.このことから,CVDの応用はデンチャープラークの除去が容易な義歯作製を可能にし,義歯装着者の口腔内および全身の健康を保つ上で有効な方法となり得ることが示された.
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