研究課題
顎口腔系に破壊的な作用をもたらす睡眠時ブラキシズムは、補綴歯科領域においては治療予後を左右する重要なリスクファクターであるが、その原因についてはいまだ詳細に解明されていない。本研究は、多因子疾患とされる睡眠時ブラキシズムの遺伝子多型とDNAの後天的修飾の関連を明らかにすることを目的としている。当該年度は、研究遂行のために、ゲノム解析の専門家とあらためて手法の検討を行い、次世代シーケンサーを使った、バイオインフォマティックスを用いての睡眠時ブラキシズム原因遺伝子の検索を行っていくこととした。ゲノムDNAのターゲットについては、効率的に検索を行うために、翻訳領域であるエクソンを調べるエクソーム解析を行うこととした。その遂行にあたり、あらためて、ヒトゲノムに関する倫理審査を受ける必要があり、所属研究機関である昭和大学のヒトゲノム遺伝子解析倫理審査委員会の承認を得ることができた。所属機関では、これまでの睡眠時ブラキシズムの終夜筋活動測定データの蓄積があったため、それらの被験者に協力を要請することにより、被験者収集および睡眠時ブラキシズムデータの測定に関わる手順を省くことができた。睡眠時ブラキシズム測定データをチェックして、グラインディングに関わるPhasic episodeを確認し、ブラキシズムイベントを多く認める被験者を睡眠時ブラキシズム患者として5名、また、ブラキシズムイベント発生頻度の低いものをコントロールとして、さらに5名に協力を要請した。
3: やや遅れている
2014年度に代表者は所属研究機関が変更となったため、研究のセッティングに時間を要することとなったため、達成度にやや遅れが生じてしまった。本年度はあらためて倫理審査委員会の承認を得ることができ、ゲノム解析を行う計画を再度検討した。ゲノム解析を行う範囲に対し、解析試薬の改良により、当初予定していたものよりも早くタイピングできることが判明し、それに合わせて解析を行える設備を手配した。また、ゲノム解析の専門家にアドバイスを受けることができたため、遅れは生じたものの、少しずつ進めることができている。
研究実施期間を延長したため、次年度に、ゲノム解析による原因遺伝子の解明を行っていく予定である。ゲノム解析にあたり、バイオインフォマティックスに詳しい専門家(京都大学 中川一路先生)にアドバイスを受けながら、データの分析を行っていく。研究の成果は専門学会での報告、専門雑誌への論文投稿により、広く公開する予定である。
2014年度に代表者は所属研究機関が変更となったことから、研究のセッティング(ゲノム倫理審査委員会の承認や、解析設備の問題など)に時間を要することとなったため、進捗状況がやや遅れてしまった。
研究期間を次年度まで延長することとなったため、次年度以降、次世代シーケンサーを用いたゲノム解析とゲノムデータの分析を進めていく予定であり、解析試薬に使用していく予定である。次世代シーケンサーはイルミナ社のMiSeqシステムを用いて行う予定であり、それに合致する試薬キットを用いるため、試薬を購入する。また、研究成果を広く公開するため、学会発表及び論文投稿に使用していく。
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日本睡眠学会第39回定期学術集会プログラム抄録集
巻: 1 ページ: 151