研究実績の概要 |
Eph分子は受容体型チロシンキナーゼであり、EphA4は比較的最近になって注目され始めた分子であり、神経領域での研究は進んでいるが、骨、軟骨における分布状況や機能は未だ不明である。以前の研究では、軟骨細胞様株(HCS-2/8)において強く発現していたEphA4の長管骨組織における発現、分布と機能を調べた。しかし、まだまだ不明な点が多いため、以前の研究を踏まえつつ、違った視点からも研究を進めていくこととした。EphA4はチロシンキナーゼ型細胞表面型受容体分子であり、その特異的リガンドとしてはephrinB2やephrinA2などが知られている。申請者らの以前の研究で、軟骨肉腫由来細胞株HCS-2/8細胞に発現しているチロシンキナーゼ型受容体を探索した折に、EphA4がその一つとして同定され、リガンドとして考えられているephrinA2は内軟骨性骨化においてEphA4より前の段階で発現のピークがあった。EphA4のリガンドは現在不明な点が多いとされている。そこで今回の実験ではまずリガンドに着目した。 (1)ISHによるRNAの検出 マウスEpha4遺伝子について、マウス7日齢膝関節のパラフィン切片を使ってISHを行い、mRNAの発現を検証した。P7マウス膝関節では骨周辺の骨膜や筋組織の一部の線維層と思われる領域に発色が見られたが、関節面の軟骨細胞などに発色は見られなかった。E18.5では関節面の軟骨組織にも細胞特異的と思われる発色が見られた。 (2)免疫染色によるタンパクの検出 ephrinA2,ephrinB2はE18.5マウスで、ephrinB3,ガレクチンについてP7マウスの膝関節でそれぞれ発現を確認した。EphA4と発現が似ているものも確認された。
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