研究課題
歯科インプラント治療において、早期の機能回復と、長期間にわたるインプラント周囲組織の維持は重要である。早期の機能回復に影響を与える因子としては、チタン製インプラントのオッセオインテグレーション能が考えられる。また、長期間でのインプラント周囲組織の維持に影響を与える因子として考えられるのは、インプラント周囲軟組織とインプラント体との親和性であろう。そこで、本研究では過去にも骨結合能を向上させることが報告されているカルシウム水熱処理によるチタン製インプラント表面改質の可能性について研究を行った。チタンを塩化カルシウム水溶液に浸漬し、高温、高圧下にて水熱処理することで、1)表面性状をほぼ変化させることなく、2)カルシウムを原子レベルで強固に修飾できることを確認した。次に細胞培養実験によって、上皮細胞、繊維芽細胞ともにカルシウム修飾チタン群では非修飾群と比較して1)接着関連タンパクの発現が強いこと、2)細胞接着強度が高いこと、が示された。このことは、カルシウム修飾チタンでは周囲軟組織との親和性が向上したことを示唆している。ラットを用いた動物実験系においては、抜歯即時インプラント埋入モデル、抜歯待時インプラント埋入モデルともにインプラントと上皮組織との界面における接着構造物の発現がカルシウム修飾チタン群では非修飾群と比較して向上したことを免疫組織学的手法にて確認した。このことは生体内においても、カルシウム修飾チタンが周囲軟組織との強固な接着に寄与する可能性を示唆している。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件)
Colloids and Surfaces B
巻: - ページ: -
PLOS ONE
DOI: 10.1371/journal.pone.0090681
Int J Oral Maxillofac Implants
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Odontology
10.1007/s10266-014-0151-8