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2013 年度 実施状況報告書

カルシウム修飾を用いた生体活性セラミックスの創製

研究課題

研究課題/領域番号 25861855
研究種目

若手研究(B)

研究機関九州大学

研究代表者

坂口 真実  九州大学, 大学病院, その他 (80608977)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードカルシウム修飾 / アルミナ / ジルコニア / 骨伝導性 / オゾン処理
研究概要

アルミナ、ジルコニアなどのセラミックスに処理を施す前に、インプラントとして一般的なチタンについて、より詳細な検討を行った。これまで、インプラントと骨に関する報告をしていたが、今回は軟組織、歯肉の上皮封鎖性に関して、すなわちカルシウム修飾チタンの細胞接着性の有効性を明らかにするため、1) インプラント周囲上皮(PIE:peri-implant epithelium)の形態学的解析、2) インプラント周囲における上皮封鎖性の定量的な評価、3) チタン表面に対する口腔粘膜上皮細胞(OECs: Oral epithelial cells)の接着性を比較、検討した。
結果は、1) PIEの接着構造:Ca-Ht群においてのみ埋入1週間後より、Ln陽性の新生上皮がインプラント表面に沿って観察された。また4週間後の比較群においてLn陽性反応が根尖側2/3に限局していたのに対し、Ca-Ht群では界面全体に認められた。2) HRP滴下実験;インプラントとPIEの界面に沿った歯肉溝からインプラント先端へと向かうHRPの侵入は、Ca-Ht群では比較群より明らかに抑制された。 3) Ca-Ht群では細胞の接着能が比較群より明らかに向上していた。接着関連タンパクの発現と細胞骨格の発達が観察され、このことが接着能の向上に寄与したことが考えられた。
以上の結果、塩化カルシウム水溶液を用いたチタンの水熱処理は、上皮細胞の接着性を高めることでインプラント周囲の上皮封鎖性を向上させる有効な表面処理であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

口腔インプラントは骨との結合もさることながら、歯肉貫通部における封鎖は細菌などの外来因子の骨への侵入を防ぐことにより、長期予後の向上に重要と考えられる。しかしながらチタン-歯肉間の封鎖性を高める有効な手段は未だ確立されていない。アルミナ、ジルコニアなどのセラミックの実験の前に、カルシウム修飾チタンの有効性をさらに詳細に明らかにする必要があると考え、我々は細胞接着に重要な役割を果たすカルシウムをチタンインプラント表面に水熱処理を用いて修飾し、実験を行った。今回の研究では、塩化カルシウム水溶液を用いたチタンの水熱処理は、上皮細胞の接着性を高めることでインプラント周囲の上皮封鎖性を向上させる有効な表面処理であることが示唆された。これによりチタンに対するカルシウム修飾の有効性が明らかになった。直前まで研究に従事していたが、産休・育休に入ったため研究の中断を余儀なくされた。そのため研究計画より若干遅れている。

今後の研究の推進方策

口腔インプラントで現在主流であるチタンに対するカルシウム修飾処理の効果について、骨組織および口腔粘膜両方に対して、カルシウム修飾チタンは優れた骨伝導性を獲得し、かつ口腔粘膜上皮の接着を向上させる結果を見いだした。今後は、審美性に優れ、生体不活性材料であるジルコニアやアルミナ表面にカルシウム修飾を行い、骨伝導性および粘膜上皮接着性の高いセラミックスを創製する。カルシウム修飾の技術はチタンでも確立したため、まずはその方法で確認する。カルシウム修飾にはその材質によってカルシウム塩の種類や濃度、オゾンガス濃度、処理温度、処理時間など変動因子が多いので、煩雑にならないように注意し計画的に実行する。

次年度の研究費の使用計画

年度途中で産休に入り、研究が中断したため。
平成26年度4月から復帰したため、当初計画道理に計画を進める。研究の中断があったため、平成27年度まで研究機関を延長する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] チタンのカルシウム水熱処理による上皮封鎖性の向上2014

    • 著者名/発表者名
      大城和可奈,鮎川保則,熱田生,古橋明大,近藤綾介,坂口真実,古谷野潔
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会 第123回学術大会
    • 発表場所
      仙台国際会議場
    • 年月日
      20140524-20140525

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公開日: 2015-05-28  

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