歯科領域においてセラミックスは審美的な観点から注目されているが、我々が審美的に気をつける部分は歯肉との親和性であるため、セラミックスの骨親和性およびカルシウム修飾の有用性を検討する前に、セラミックスの軟組織親和性を検討した。In vitro実験としてチタン、ジルコニア、白金加金のプレート上で歯肉上皮細胞、線維芽細胞の培養を行い、細胞接着数、細胞接着力を測定した。また、免疫蛍光染色法にて上皮細胞ではインテグリンβ4、アクチン、核を線維芽細胞ではヴィンキュリン、アクチン、核を染色し、形態の観察を行った。上皮細胞、線維芽細胞ともにチタン、ジルコニアとの間で細胞接着数、細胞接着力に有意な差は認められなかったが、白金加金では低い細胞接着数を示した。蛍光免疫染色では細胞はどの表面にも接着していることが明らかになった。また、in vivo実験としてチタン製および白金加金インプラント、表面にジルコニアを修飾したインプラントをラット口腔内に埋入し、歯槽粘膜および骨に対する検討を行った。骨植に対してはどのインプラントも同程度であった(有意差なし)。3種のインプラントとも接触部は炎症性の細胞や細胞間隙の拡張も認めなかった。ジルコニアインプラントはチタンとの界面に類似した所見が認められた。チタンにおいてもカルシウム修飾は骨や軟組織親和性の向上が報告されているため、同様にジルコニアにおいてカルシウム修飾することによる骨や軟組織親和性の向上の可能性があるが最終的な結果までは得られなかった。
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