研究課題/領域番号 |
25861860
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20399900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 咬合 / 咀嚼 / 糖代謝 / 糖尿病 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
咀嚼が糖代謝に与える影響についてWitar雄性ラットを用いて検討した。ラットを24時間絶食後、体重1kg当たり10kcalの固形飼料を給餌する固形群および同等のカロリー数、栄養素を含む液体飼料を給餌する液体群の2群に分け、給餌後の活性型GLP-1の血清中の濃度を測定した。GLP-1はインスリンの分泌を促進するとともに、グルカゴンの分泌を抑制することにより、血糖値を下降させるホルモンであり、小腸下部のL細胞から分泌されることが知られている。GLP-1の分泌の調整には、血糖値の上昇、腸管への機械的刺激および迷走神経を介したシグナルが考えられている。給餌終了から血糖値およびGLP-1の分泌を経時的にモニターをした。その結果、血糖値は両群ともに同様の上昇を示した。一方、活性型GLP-1濃度では給餌30分後における液体群の濃度に比較して固形群で有意に高かった。次に、給餌前にアトロピンを投与し、迷走神経を遮断したところ、給餌から30分後に認められた上記の有意差は消失した。次に24時間絶食後、ノンカロリーの固形食または水を摂取した後のGLP-1濃度について計測を行ったところ、両群間に有意な差を認めなかった。最後に器械的刺激を遮断するため、胃の幽門部を結紮し、24時間絶食後、固形飼料または液体飼料を給餌させ、GLP-1の濃度を測定した。幽門部の結紮による衰弱により所定の給餌を行うことができず、GLP-1濃度の変化は認められなかった。以上の結果から、咀嚼は迷走神経を介したGLP-1分泌促進に関与しており、その際、血糖値の上昇が必要である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血糖値に関係するホルモンへの咀嚼の影響について明らかにし、さらにそのメカニズムについても、検証が進んでいるため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、糖代謝にあたえる咀嚼の短期的影響について検討を行っている。今後は短期的影響に加え、長期的な影響についても検討を加える予定である。咀嚼行動の長期的な相違が、糖代謝に関与するホルモンの分泌やホルモンを産生する組織に及ぼす影響について生化学的および組織学的検討を行う。
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