研究課題
目的:本研究は有歯顎者における疼痛発生時の噛みしめ力と口蓋粘膜沈下量の関係を同時に解析可能な上顎口蓋床形態の装置を新たに開発し,口蓋床正中部のリリーフが支持力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.方法:被験者は著明な口蓋隆起がなく,口蓋粘膜に異常を認めない有歯顎者15名とし(男性8名,女性7名,平均年齢28.9歳),上顎には口蓋粘膜に接し,噛みしめ力により沈下する疑似口蓋床,沈下量を測定するための上顎の基準となる前歯部用シーネ,下顎には疑似口蓋床に噛みしめ力を加えるための加圧用シーネを装着した.また,疑似口蓋床はリリーフ量の異なる3種類を製作した:「口蓋正中部のリリーフなし」「口蓋正中部にリリーフ量0.23 ㎜(幅10 ㎜のシートワックス1枚)付与」「口蓋正中部にリリーフ量0.46 ㎜(幅10 ㎜のシートワックス2枚)付与」.被験者には疼痛が生じるまで毎秒100 Nで噛みしめさせ,疼痛発生時の噛みしめ力と口蓋粘膜沈下量を,小型圧縮型ロードセルと小型超音波厚さ計を用い,同時に測定した. リリーフ量間の比較は,繰り返しのある2元配置分散分析を行った.また,疼痛発生時噛みしめ力と口蓋粘膜沈下量において,各リリーフ量でPearsonの相関を求めた.結果:「リリーフなし」と「リリーフ量0.23 ㎜付与」,「リリーフなし」と「リリーフ量0.46 ㎜付与」の間には,疼痛発生時の噛みしめ力,口蓋粘膜沈下量ともに有意な増加が認められた(p < .05).しかし「リリーフ量0.23 ㎜付与」と「リリーフ量0.46 ㎜付与」の間には,有意差はなかった.
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