本研究は、義歯に二酸化チタンコーティングを施すことで、簡便に清掃可能な義歯に改質する方法について、その生物学的安全性の検討を行ったものである。動物を用いた3つの安全性試験(口腔粘膜炎症試験、感作性試験および皮内試験)において、二酸化チタンコーティングを施した床用レジンの評価点数は基準値以下となり、炎症誘発作用が検出されなかった。結果より、二酸化チタンコーティングを施した床用レジンは口腔粘膜に対する炎症性がないだけでなく、感作性もないことが判明した。また、口腔内でコーティング材の溶出が起こったとしても、組織への炎症誘発作用は臨床使用上ないことが証明された。
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