研究課題/領域番号 |
25861870
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青柳 裕仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30460140)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科用コーンビームCT / 骨密度 / ファントム |
研究概要 |
放射線学分野において、骨密度の参照体として骨と近似したX線減弱係数を有するアルミニウムをしようしており、アルミニウムを階段状に組み上げたもの(アルミニウムステップウェッジ)を被写体と同時撮影し、画像分析することでX線不透過性の評価を行っている。しかしながら、この手法では、アルミニウム相当厚さの計測は可能であるが、骨の厚さに関しては相関性が得られない。したがって、骨の厚さを計測するには、計測する骨と同等のカルシウム密度を有するファントムが必要であると考えられる。また、歯科分野では、治療した部位と健全な歯質をX線撮影により鑑別するためX線不透過性(造影性)が付与されているが、添加された造影剤の種類および量とX線不透過性の関係に関して明らかでない。 そこで、今年度の研究では、使用されているアルミニウムに代わり、下顎骨皮質骨相当のカルシウム密度(500mg/cm3)を持つ、ハイドロキシアパタイト顆粒を造影剤として用いた造影剤の分散が均一なステップウェッジの作製を行った。また、同時に、歯科材料で造影剤として用いられているチタン、ストロンチウム、ジルコニウム、バリウムおよびビスマスの評価も行うため、チタン粉末、炭酸ストロンチウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウムおよび酸化ビスマスを用い、アルミニウム相当厚さが約1.0mmに相当する添加量で同様に造影剤の分散が均一なステップウェッジの作製を行った。上記ステップウェッジの1ステップあたりの厚さは約0.5mmであり、最大で10ステップの約5mm厚さまで計測が可能である。 今後、上記ステップウェッジの画像解析および評価を行い、アルミニウムステップウェッジと比較することにより、新しい骨密度評価の基準を確立する可能性が大きいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨密度参照体として、歯科用材料に添加されている造影剤を用いた分散が均一なステップウェッジおよび下顎骨皮質骨相当のカルシウム密度(500mg/cm3)の造影剤の分散が均一なステップウェッジを約0.5mm厚で10段階のものを作製することに成功した。これにより、歯科分野でのレントゲン撮影検査における骨密度の計測がアルミニウムに比べより正確になると考えられるためである。
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今後の研究の推進方策 |
上記作製したステップウェッジを歯科用X線撮影装置で撮影後、画像解析を行い、X線不透過性の評価を行う予定である。また、同時に、海面骨相当のカルシウム密度のステップウェッジの作製を行い、同様に分析および評価を行う。 今まで作製した歯科用コーンビームCT用骨密度測定ファントムに関し、添加しているハイドロキシアパタイト顆粒の粒径が大きいことにより、医科用CTでの使用には耐えうるが、μCTに関しては上記理由により、カルシウム含有量が低いものでは指標とするには問題があるため、新たに成分を考慮し作製を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、所属が3回変わったために、研究に必要な備品および消耗品の執行を一部見送ったために次年度使用額が生じてしまった。 研究に必要なPCがサポート対象外になってしまったため、新しいOSが導入されたPCを購入予定である。 また、本研究に必要とされる新規薬剤の購入を行う予定である。
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