研究課題/領域番号 |
25861873
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
岡田 芳幸 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70566661)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 睡眠ブラキシズム / 交感神経活動 / 圧反射 / 昇圧反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、睡眠時ブラキシズムが中枢性昇圧反応を誘発するか否か、それは換気低下が原因となるか否か、また、睡眠誘発時には疼痛刺激による昇圧応答が抑制されるか否かを明らかにする。そこで、睡眠ブラキシズム時の昇圧反応は、(1) 筋交感神経活動の上昇と血圧反射感受性の低下を伴う、(2) 動脈血酸素飽和度の減少により誘発される、(3) 圧受容性動脈の硬化に関与する、及び(4) 睡眠誘発時は疼痛刺激による昇圧反応が筋交感神経活性の抑制に伴い減弱するという仮説を検証する。 25年度は環境を一定に保った人工気象室で被験者に深夜0:00から翌朝(6:00~8:00)まで睡眠をしていただき、睡眠深度を脳伝図により、睡眠ブラキシズムを咬筋筋電図により、循環・呼吸動態を連続血圧計、心電図、マイクロニューログラム、呼吸数、及び動脈血酸素飽和度により評価した。 睡眠時ブラキシズム時の昇圧反応は心拍数の増加と交感神経活動の上昇を伴った。また、この交感神経活性はブラキシズムが発生する直前より起こると共に圧反射感受性が低下することを発見した。さらに、睡眠時ブラキシズム発生に前もって動脈血酸素飽和度が低下していた。以上から、睡眠ブラキシズムは睡眠中の低酸素状態を防ぐ可能性が示唆された。これに伴う昇圧反応は交感神経が上昇するが圧反射感受性の低下により効率的に起こることも推測された。 26年度は睡眠誘導中に酸素状態を一定に保ったまま、疼痛刺激で昇圧反応を起こし、睡眠自体が疼痛に対する昇圧反応を亢進するか減弱するかを評価した。 睡眠誘導時はAwake時と比較して疼痛刺激時の昇圧反応は抑制された。それは交感神経活動の上昇の減弱を伴っており、圧反射感受性は上昇していた。以上から、睡眠自体では刺激による昇圧反応は抑えられており、これは圧反射作用の亢進により交感神経活性の抑制が起こっていることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疼痛刺激時に微小電極をヒト交感神経内に挿入し神経微細電位を記録するにあたり、外部からのノイズをデータに影響のない状況にするため研究を行った部屋の環境を整えるのに時間がかかった。 研究の経過を学会で発表後、同分野の専門家から統計学的な検定パワーを求められ、被験者の追加が必要であることが指摘された。
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今後の研究の推進方策 |
研究プロトコールの遂行は昨年度と変更がなくスムーズにできることから、クライテリアに沿った被験者を大学内外から公募を急ぎ、またその範囲を広げることでより多くのデータ採取を早急に行う。 研究成果を国外の学会で発表し、多くの意見を国内外の専門家からいただき、論文執筆に際してより精度の高いものに仕上げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.疼痛刺激時に微小電極をヒト交感神経内に挿入し神経微細電位を記録するにあたり、人工気象室外で行う実験において外部からのノイズをデータに影響のない状況にするため研究室の環境を整えるのに時間がかかり、実験の遂行が遅れたため。 2.本研究の途中経過を学会で発表した時に同分野の専門家から統計学的な検定パワーを求められ、被験者の追加が必要であることが指摘されたことで、実験期間の延長をした。そのため、最終発表(国際学会)、論文執筆、オフライン解析に使用する解析ソフト等にかかる費用を次年度使用予定とした。
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次年度使用額の使用計画 |
被験者数を追加するための謝金とそれに関わる追加実験に使用する消耗品の購入に充てる。 研究成果を国際学会(Experimental Biology 2015 Boston)で発表し、国内外の専門家の意見をいただくため、学会参加費と旅費に使用する。 十分なデータを収集後にオフライン解析のためのソフトウェアーの購入費、及び論文執筆にかかる経費に使用する。
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