研究課題/領域番号 |
25861877
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研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
福田 竜弥 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (90624833)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 口腔内装置 / 舌吸引 |
研究実績の概要 |
入眠に伴いヒトの上気道拡張筋の活動は低下し、舌は咽頭方向へ沈下する。しかし、覚醒時の舌の位置を維持することができれば睡眠中の無呼吸発現を防止できるかもしれない。本研究の目的は、この仮説を検証し、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome; OSAS)患者に対し、良好な治療成績とコンプライアンス(患者が治療者の指示通りに治療装置を使用できる割合)の向上に貢献でき、かつ、副作用の少ない治療法を新規に考案し、その有効性を証明することである。本研究のプロトコールは神経研究所倫理委員会によって承認され、書面により研究協力の得られたOSAS患者を対象に、これまでに予備実験を重ねてきた。新規装置は口腔部分と陰圧発生装置、および両者をつなぐチューブから構成される。口腔部分の基本構造を企業研究者のアドバイスを受けつつ決定し、その妥当性についての基礎的検討を行った。OSAS患者(n=6)に対し、就寝時に新規装置装着を指示し、装置使用1-2ヶ月前後での呼吸障害指数(Respiratory Disturbance Index; RDI)の変化を簡易型無呼吸計測装置を用いて評価した。その結果、新規装置は有意にRDIを減少させた。一方でこの予備実験により、現在の口腔部分基本構造は維持しつつも、その材質や大きさを変えることによって、より使用感の優れるOSAS治療装置となる可能性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験により装置の構造を決定することができた。さらに、新規装置が下顎前方移動型口腔内装置と同等の治療効果を有することが確認された。以上より装置レイアウトは変更せずに、口腔部分の素材を含めたマイナーチェンジのみでコンプライアンスの高い治療法になりうると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の実績を踏まえ、男性OSAS [無呼吸低呼吸指数=Apnea Hypopnea Index(AHI)が30回/時まで] 患者20名を被験者として口腔部分の改良を加えた修正型装置を作製し、その後、処方陰圧レベルを決定する。次にこれらの患者に対し、簡易型無呼吸計測装置を用いて新規装置使用時のOSAS症状および呼吸障害指数(Respiratory Disturbance Index)の改善度を評価する。本装置のコンプライアンス関連因子(舌・顎関節・閉口筋群・歯牙および歯周組織への負荷、疼痛、起床時の違和感等)、自覚的眠気水準や短期的なQOL変化についても装置使用前後における評価を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに成果により、新規装置のデザインがOSAS発症を防御するうえで効果的であることが証明され、同装置の実用化に一歩近づくことができた。また、口腔部分装着時の違和感を最小限にし使用感を向上させることにより、長期かつ安全な使用も可能となると判断された。以上より、装置のマイナーチェンジ後、これまで用いた実験系とプロトコールをそのまま利用したフィージビリティースタディーを引き続き行い、臨床応用性について検討を加えるため。
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次年度使用額の使用計画 |
口腔内部分の素材をポリオレフィンよりシリコンへと変更させ、引き続きデータ採得・解析を行う。
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