研究課題/領域番号 |
25861878
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中塚 愛 北海道大学, 大学病院, 助教 (00547648)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 4-META/MMA-TBBレジン / 生体活性材料 / BMP-2 / 硬組織誘導 |
研究概要 |
炭酸カルシウム、αTCPを0、40、60%の重量比で4-META/MMA-TBBレジンに混和し複合化レジンを作製した。ラット頭蓋骨面を10%クエン酸3%塩化第二鉄溶液で処理後、複合化レジンを塗布し、硬化前にBMP-2を含浸させた凍結乾燥スキャフォールドで被覆する群と何も被覆しない群にわけた。4、8週後に脱灰薄切標本を作製、HE染色し、レジン表面への骨形成状態を観察、レジン上面の骨の増生率、レジンと増生骨との直接接触率を計測した。 その結果、観察期間4週では、炭酸カルシウム、αTCPの濃度が高いとわずかにレジン上面の骨増生率が高い傾向がみられたが、ほとんど差は認められなかった。BMP-2を用いた群では、用いない群と比較して骨増生率は高かったものの、10%程度であった。レジンと増生骨の直接接触率は、炭酸カルシウム、αTCPの濃度が高くなるに従って高くなった。観察期間8週では、どの複合化レジンでも4週と比較してレジン上面の骨増生率は高くなり、炭酸カルシウム、αTCPの濃度が高い程、骨増生率が高くなる傾向が認められた。BMP-2を用いなかった群では、用いた群と比較して、レジン上面の骨増生率は低く、直接接触率も低かった。BMP-2を用いた群では、レジン上面の骨増生率は有意に高く、100%のものが多く観察された。混合材料の違いによる差は認められなかった。レジンと増生骨の直接接触率は、炭酸カルシウム、αTCPの濃度が高くなるに従って高くなり、60%混合したもので約90%となった。 以上より、60%含有炭酸カルシウム、αTCPの複合化レジンとBMP-2を含浸させたスキャフォールドを用いることにより、レジン表面を骨組織で被覆することができ、さらにレジンの大部分が新生骨と直接接触する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯学部の耐震補強工事のため、動物実験ができない期間があった。 また、標本作製時の失敗で、データ数が不足している群がある。 生体活性材料として、炭酸カルシウムだけでなく、αTCPも追加して評価している。
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今後の研究の推進方策 |
ラット頭蓋骨に移植した複合化レジンと増生骨の結合状態をSEMで観察する。 炭酸カルシウムとαTCPをそれぞれ0、40%、60%含有した4-META/MMA-TBBレジンを、ビーグル犬の下顎骨下縁に作製した骨欠損部に移植後、BMP-2を含浸させ凍結乾燥したスキャフォールドで被覆して、病理組織学的にレジン上面の骨新生量、レジン上面の骨とレジンの接触面積を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額3903円は、平成26年3月に購入した実験器具の支払いが4月以降になるため生じたものである。 さらに中型動物を用いた実験で、病理組織学的評価を行うため、実験動物(ビーグル犬)や薬品類、ガラス器具やプラスチック器具類を主体とし、さらに学会発表や論文投稿料に研究費を使用する予定である。
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