これまでの研究で、4-META/MMA-TBBレジンに40%および60%の炭酸カルシウム、αTCPを複合化させることにより、ラット大腿骨骨髄腔内に移植したレジン上に形成された新生骨とレジンとの直接接触が高まることが明らかになった。しかし、レジン上面への骨増生は十分ではなかった。 そこで、複合化4-META/MMA-TBBレジンをラット頭蓋骨に接着させ、露出したレジン上面をBMP-2を含浸し凍結乾燥したアテロコラーゲンスポンジで被覆したところ、レジン上面をほぼ被覆する骨増生が認められた。 このことから、ビーグル犬歯槽骨に大きな骨欠損を作製した後、欠損部を複合化4-META/MMA-TBBレジンで充填し、上面にBMP-2を含浸したアテロコラーゲンスポンジで被覆することで、レジン表面に新生骨が誘導され、骨形態の回復が可能ではないかと考え、検討を行った。その結果、欠損部の骨とレジンは接着し、レジンと歯肉結合組織の間にはレジン上面を被覆する新生骨の形成が認められた。また、その新生骨はレジンと直接接している部分が多く認められた。BMP-2含浸アテロコラーゲンで被覆しなかった群は、レジン上面への骨増生はほとんど認められなかった。これにより、複合化4-META/MMA-TBBレジンとBMP-2含浸アテロコラーゲンを併用することで、歯槽骨の欠損形態や大きさによらず、内部はレジン、表面は新生骨という形で自在に形態を回復することが可能になると考えられた。 この方法は失われた骨の完全な再生を目指すものではなく、人工材料を代用組織として再生療法とハイブリッドさせることで、わずかな再生量で機能と形態を回復させるものであり、現在の組織再生療法では十分回復しなかった大きな骨欠損にも対応でき、進行したインプラント歯周炎等の効果的な治療法になるのではないかと思われる。
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