研究課題/領域番号 |
25861879
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 培養細胞シート / 歯周組織再生 / β-TCPコラーゲンスキャフォールド |
研究実績の概要 |
本年度は前年度の骨髄細胞シートに加え、歯根膜細胞シートの作製を行った。具体的にはF344ラットの歯牙を摘出し、歯根膜組織を採取。アウトグレース法にて歯根膜細胞を採取、継代培養し得られた細胞を凹型β-TCPブロック上で培養、追加播種することで多層歯根膜細胞シートを作製することを試みた。しかしながら歯根膜細胞シートについては細胞数が安定せず最適な供給までには至らなかった。 一方で、FGF徐放性β-TCPコラーゲンスキャフォールドの作製を行った。具体的には規格化した超多孔性β-TCP(気孔率約70%、気孔径100~400μm)プレート型ブロックと凹型ブロックを組み合わせて4×4×3mmに規格化し、内部にFGF(0、3、15μg/個)を含浸させたFC-HACスポンジを填入し、β-TCPコラーゲンスキャフォールドとした。 さらに、培養した骨髄細胞シートについてはβ-TCPコラーゲンスキャフォールド上に付着させた培養細胞シート一体型β-TCPコラーゲンスキャフォールドを象牙質片に縫合し固定した試料を作製した。ラット頭蓋骨に4×4×2mmの骨窩洞部を形成後、試料を窩洞に接するように埋植した。その際の骨形成への影響に関して組織学的評価を行った。その結果、骨髄細胞シート一体型β-TCPコラーゲンスキャフォールドを用いた場合の新生骨形成についてβ-TCPブロック単体を埋植した時と比較して明らかな差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はビーグル犬を用いた実験的歯周炎モデルに対して、本細胞シート併用β-TCPコラーゲンスキャフォールドを用いた新規歯周組織再生療法による有効性を評価する予定であったが、歯根膜細胞シートの安定した供給が得られなかったこと、骨髄細胞シート一体型β-TCPコラーゲンスキャフォールドをラットに用いた場合において良好な新生骨形成には至らなかったことから、本方法についての再検討に時間を要したため目標より達成度は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は歯根膜細胞シートの安定した供給など本方法について検討を行う必要がある。さらに、本培養細胞シート併用新規スキャフォールド(β-TCPコラーゲンスキャフォールド)の有効性についてはビーグル犬に用いることはせず、引き続きラットを用いて評価を行う予定である。その際、最適な培養細胞シート、FGF、β-TCP、コラーゲンの量を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新たな培養歯根膜細胞シート作製方法の確立方法について再度検討が必要となったこと、次年度の引き続きラットを用いた動物実験に時間を要したため、予定していたビーグル犬購入などにかかる経費がかからなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降も培養細胞シート併用新規スキャフォールド作製の確立や、新規スキャフォールドを使用した際の有効性をラットおよびビーグル犬を用いた組織化学的評価評価に研究費を使用する予定である。また得られた知見は国際学会および英文論文誌に投稿を予定しているため、学会参加費、投稿料、英文校正料などにも使用する予定である。
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