研究課題
本年度研究では、平成25年度および平成26年度に実施した実験により得られた成果を踏まえ、パルス磁場刺激等を神経分化モデルPC12細胞に作用させ、以下の2点について重点的に検討を実施した。(1)パルス磁場刺激による細胞内シグナル経路の活性化機構。(2)平行かつ一方向性のパルス磁場刺激により神経突起の配向を制御する手法。[方法]上記(1)については、MAP3KファミリーやTRPチャネル等、様々なシグナル伝達因子の阻害剤を神経分化誘導時に作用させて、パルス磁場刺激による神経細胞分化誘導に関与する新たなシグナル経路を探索した。(2)については、細胞に対して一方向性のパルス磁場を負荷することが可能な特殊な励磁コイルを作成し、PC12細胞に様々な条件でこれを負荷することにより、BMPまたはNGF依存性神経細胞分化誘導時の神経突起の伸長方向への影響の有無を、細胞形態の位相差画像により統計的に解析した。[結果]パルス磁場刺激依存性神経分化は、TRPV3やTRPV4等の温度刺激に反応する各種TRPチャネルについて検討したが、それらの選択的阻害剤では抑制ができなかった。一方、BMPの競合的阻害剤であるNogginやI型BMP受容体の低分子阻害剤として知られるLDN-193189の作用により、パルス磁気刺激による神経細胞分化が著しく抑制されたことなどから、BMPシグナル経路が何らかの様式によりパルス磁場依存性神経細胞分化の過程において必須の役割を担っていることが明らかとなった。また、一方向性平行磁場による神経突起配向制御については、関連文献を参考に様々な実験条件を用いて検討実施したが、一方向性平行磁場の負荷のみでは、BMPないしNGF依存性神経突起伸長の配向制御は困難であることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
PLOS ONE
巻: 10 ページ: e0124024
10.1371/journal.pone.0124024.