研究課題/領域番号 |
25861882
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
則武 加奈子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (60624210)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | GBR / 骨膜 / FGF-2 / 垂直的骨造成 / ラット / 頭蓋骨 / 吸収性メンブレン |
研究実績の概要 |
現法の垂直的骨造成(OG)法は、治療期間中に粘膜裂開が起こるリスクが高い問題点がある。申請者らが開発した吸収性β-TCP含有ゼラチンGBR膜(G/T膜)は骨造成部での遮蔽目的だけでなく、サイトカインのキャリアとしても利用できる特性を持つ。そこで、線維芽細胞増殖因子-2(FGF-2)に注目しG/T膜に含浸させることで骨造成を図ると同時に粘膜裂開のリスクを減らす新しい垂直的骨造成法を考案した。本研究の目的は、ラット頭蓋骨上OGモデルにおけるFGF-2含浸G/T膜(F-G/T膜)の骨造成・粘膜裂開防御に対する有用性の検証であり、この新規垂直的骨造成法開発の基盤作りである。 平成27年度は、ラット頭蓋骨においてF-G/T膜が骨膜に与える影響を観察する目的で、全身麻酔下にてラット頭蓋骨の骨膜を剥離し、骨上もしくは骨上に設置したシリコンドームと骨膜間にF-G/T膜を設置し、術後2,7日後の骨膜ならびに新生骨を組織学的に検討を行った。これまでの研究結果より、F-G/T膜で骨欠損部を被覆すると、骨新生は母床骨付近の欠損部断端でのみ認められ、欠損 中心部では結合組織が増加し、骨組織と結合組織は混在せず、相互排他的に新生することがわかっているが、今回行った研究結果より骨とF-G/T膜間に新生骨が認められた。この結果は、本研究の目指すラット頭蓋骨上OGモデルにおけるF-G/T膜の骨造成・粘膜裂開防御に対する可能性を高める結果であるといえる。今後は、ラット頭蓋骨OGモデルを確立し、確立したOGモデルにおけるF-G/T膜の骨造成・粘膜裂開防御に対する有用性の検証を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、動物実験を行う体制を整え(これまで学内実験設備の改修や産休・育休のため実験が行えなかった)、F-G/T膜の骨膜への影響を観察するためのシリコンドームを用いた骨膜挙上モデルを確立でき、同モデルを用いて術後2,7日後の骨膜ならびに新生骨を組織学的に検討を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、①平成27年度に実施したF-G/T膜の骨膜への影響に関する学会発表ならびに論文作成、②ラット頭蓋骨OGモデルの確立、③②で確立したモデルを用いてF-G/T膜の骨造成・粘膜裂開防御に対する有用性の検証を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は育児休業より復帰直後だったため、動物実験を開始するまでに時間を要したため、解析に予定よりも時間を要した。このため、計画していた実験をすべて行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度ということもあり、学会発表や論文作成を含め積極的に研究を進めていきたいと考えている。
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