研究実績の概要 |
平成28年度は、まずリタイアラット頭蓋骨の骨上、もしくは骨上に設置したシリコンドームと骨膜間に、吸収性b-TCP含有ゼラチンGBR膜(F2-G/T膜)を設置し、実験群に30ugのFGF2を、対照群はPBSを含浸させ、術後2,7,14日の骨膜並びに骨上の申請骨を組織学的、放射線学的に観察したところ、両群において設置したG/T膜が骨上のスペースメイカーとなり、骨膜剥離部断端部を中心に術後7日より新生骨が認められたが、実験群よりも対照群に多く認められた。上記の結果を受けて研究計画を見直し、FGF-18はこれまで胎生期のおける骨形成の促進(Nagayamaら.2013.)やBMP-2との併用で骨再生を安定および促進させること(Fujioka-Kobayashiら.2012.)が知られているが、成人期における骨新生に対する効果は不明なためFGF-18に着目し、上記と同様に術後2,7,14日での新生骨量を観察したところ、30ugのFGF-18を含浸させた群では、対照群よりも新生骨量が多く認められた。術直後におけるFGF-18の骨新生への効果が認められたことから、観察期間を延長し長期経過に対するFGF-18に対する効果を検討する目的で、術後4,8週での観察を実施した。平成28年度までに動物のサンプリングが終了し、現在(平成29年度)組織切片の作成、放射線学的な検討を行っている。 当初計画したFGF-2とG/T膜による効果的な骨造成は認められなかったが、FGF-18含浸G/T膜はラット頭蓋骨上のモデルで骨造成に対して有用性が高いと思われる。また、FGF-18が成人期の骨新生に対しても効果的な可能性が示唆される。最終年度に研究計画を一部変更したため、上記に関する研究期間内での学会、論文発表は行うことができなかったが、今後引き続き解析を行い、今年度中に研究結果を発表する計画である。
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