研究概要 |
インプラントへの即時荷重後に周囲骨が早期に骨吸収してしまい,オッセオインテグレーションを獲得できないケースが問題視されている. そこで本研究では,先行研究から,骨形成を促進する応力の範囲があるとの仮説を立て,動物実験,模型実験および有限要素法解析によってインプラント周囲骨の変化を形態学的・組織学的に検討することで,骨形成を促進する応力の閾値を明らかにし,CT画像から有限要素モデルを作成し,咬合力に応じた荷重を負荷した際の応力が,骨形成を促進する応力となるようなインプラントの配置,補綴装置の材質などの最適設計法を確立させることを目的とする. 本年度は、有限要素モデルの確率するべく、骨量が十分にある上顎無歯顎患者の顎骨CT画像のDICOMデータから、メカニカルファインダー(MechanicalFinder,計算力学研究センター,大阪)を用いて有限要素モデルを作製した。さらにCADソフト(SOLIDWORKS 2011, Dessault systems, France) を用いて作製したインプラントを6本配置し、インプラントと骨との境界条件を2種類設定した。即時荷重を想定したものをcontactとし摩擦係数を0.3,、すでにオッセオインテグレーションを獲得したものに待時荷重を想定したものをbondとし、最遠心に8mmカンチレバーを設定した上部構造の全面に300N、カンチレバー部に100N、前歯相当部に120Nの垂直荷重を負荷した。 その結果、すべての即時荷重モデルにおいて待時荷重モデルよりも大きな最大主応力を示し、カンチレバー部への荷重負荷では、最遠心のインプラントに最も高い応力集中が認められた。
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