研究実績の概要 |
本研究は、微小動揺が歯科インプラント周囲骨に及ぼす影響について明らかにし、即時荷重インプラントの適応基準および荷重プロトコールに関する科学的根拠を提供し、新たな治療指針を確立することを目的としている。 下顎無歯顎における適応基準を確立するために、有限要素法を用いて、“All-on-Four”コンセプトに基づいたインプラント埋入モデルを作成し、即時荷重を適応したインプラントの力学的評価を検討した。荷重開始時期として、遅延荷重モデルおよび即時荷重モデルとし、上部構造の材料としてチタンおよびレジンのフレームワークとした。荷重部位としてカンチレバーあり、カンチレバーなしについて検討し、インプラント周囲骨の圧縮主ひずみ・引張主ひずみおよび、微小動揺を評価した。結果、インプラント埋入後の治癒期間にカンチレバーのない上部構造を用いることは、インプラント周囲骨に生じるひずみを低減させるのに有効であり、“All-on-Four”コンセプトを適用した場合に発生する微小動揺は、骨の治癒を阻害しない許容範囲内にあることが示された。また上部構造の材料の違いは,インプラント周囲骨のひずみおよび微小動揺の低減には大きな影響を及ぼさないことが示された。 最終年度は、これらの結果についての妥当性を検討するべく、模擬骨を用いた実験を行った。また研究成果について学会発表(23rd International Conference on Oral & Maxillofacial Surgery (ICOMS) 2017)および論文(J Prosthodont Res 61(2):123-132, 2017.)発表した。
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